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第26話 研究室
それでも助かったような助からないような。
この人は本当に日本語も通じませんよね、空気も話も読み取れない聞き取れない。上機嫌の柾木さんと並んで歩いていると、何故かどんどん落ち込んでいくようです僕。
東棟から出て校門へと向かいます。今にも走り出しそうな勢いの柾木さん。
その横を、僕はとぼとぼと歩ています。本当に対照的な足取りではないですか。
「お、マサキ!」
呼ばれて二人同時に振り返ってしまいました。考えたら僕の事をマサキと呼ぶのは香月さんだけでした。ここにはいません。振り返った先には知らない人がこっちを見て立っていました。
「お前さ、研究室で呼ばれてたぞ。ゼミ、嘘ついてすっぽかしたろ。かなり教授ご立腹。すぐ行った方が良いって。お前、教授に睨まれたら卒業ヤバイぞ。」
ああ、三年生ですね。僕には関係のない話でした。
「ええっ。今さぁ、俺ちょっと用事あって。うーん。教授呼んでるって?まずいかなあ。将生君、悪いけどすぐに行くから校門のところで待ってて。ねっ?」
「え、えっ?……はあ」
踵を返すと、足早にまた東棟へと戻って行く柾木さん。仕方ないので、取り敢えず校門へと急ぐ事にしました。僕の足取りがなぜか急に軽くなったのはなぜなんでしょうね。
「将生、こっち」
微笑んでる香月さんは素敵です。あれ?僕なぜかドキドキしているのですが!
「大学かあ、ここで見る将生は、なんだか新鮮」
そう言う香月さんは、いつどこで見ても素敵です。
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