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第27話 体育館

   本当に素敵な笑顔の香月さん、何か言わなきゃいけない事があったようななかったような。 もうどうでもいいですね。  「将生、大学案内してよ」   何か忘れている……。あ!そう言えば、あの人に校門で待つようにと言われたような気がします。  「あの、実は僕じゃない柾木さんがですね……」  急に香月さんの顔が曇ってしまいました。あれ、どうかしたのかな?  「柾木って…あの柾木翔太?あの男には関わらない方が良い」  「香月さん、お知り合いなんですか?」  そう聞いても笑ってはぐらかされていしまいました。紹介してって確か柾木さん言ってたはずですが、なぜか既に知り合いなのでしょうか。  「俺さ、高校も通信だし大学も行ってないでしょ。なんだか面白そう、案内してくれない?」  ご機嫌ですね。嬉しくなって「はい!」と元気な声が出ました。  歩き出してすぐに異変に気がつきました。周りの人がじろじろと見ています。    あれ、どうしたのでしょう。普段は、空気より見えない存在だと言われたのに。  ……香月さんのせいですね、これ。  ここを歩き回るにはかっこよすぎるんでしょうね。  「ね、学校と言えば体育館裏でしょ。告白とかするとか……。だよね、将生」  その情報一体どこから来たのでしょう。古い漫画のような世界観ですね。  僕には体育館裏は、呼び出されたら殴られる場所ですよ。  ……そして、今、二人で誰もいない体育館裏。  そもそもここは高校じゃ無いし、こんなところに呼び出して告白なんてしませんよ、今時の高校生だてSNS経由でしょう。  日陰で寒いだけです。そう思っていたらぎゅっと抱きしめられました。  「ちょっと肌寒いね、暖め合うには最適」  そう言って悪戯っぽく笑われました。やっぱり腰が砕けそうです。

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