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第39話 目眩

 「斎藤ちゃんはこっちで、征木ちゃんがこっち」  監督が、立ち位置いやヤリ位置の説明をしている。  「で、ジェフがここね」  え!?三人ってどういう状態でしょうか。  三人同時に何をするんでしょうか?  するすると寄ってきた柾木さんが小声で囁きました。  「この前、せっかくのチャンス逃しちゃったからねえ」  やっぱり征木さんが相手なのですか。嫌です。こ、怖いんです。  確か、僕は香月さん専属って約束のはずです。  監督は、お金になると思ったら何でも受けるんですね。当然ですか、ビジネスですものね。  「ま、柾木さん。僕には無理です、怖いって言うか……怖いです」  「そう?じゃあ怖くなくしてあげる。こっち来て」  手を引いて隅に連れていかれました。お説教されるのでしょうか。  「はい、向こう向いてね」  言われて征木さんに背中を向けました。あっと思った瞬間に、身体を前にぐいっと押されました。上半身を半分に曲げられて、お尻を柾木さんに向けたまま、お辞儀をした格好になってしまいました。  はいっ?な、何をするんですかと思った時、後ろからぷつっと何かさしこまれました。  「な、何ですか?」  「合法のやつだから大丈夫だよ。そんなに強く無いし、俺なんか最近もう効かないもん」  「えっ、これ駄目です。早く出して、出してください!」  「すぐに吸収しちゃうから大丈夫だよ?」  その逆です、征木さん。すぐに吸収しちゃうなら余計に駄目なはずです。  「あ…ぁ……気持ちが…悪いです!め、めまいがして来たんですけれど」  「んー、即効性だから、もう大丈夫かなあ。はい、ベッドね」  僕は一体どこを目指して走っているのでしょう。

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