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第82話 ドクダミ

 とりあえず全部脱いでと言われても全く抵抗がなくなりました。  はい、サクサクと脱げるようになりました。順応性の高さではきっと誰にも負けません。  「あれ?ちょっと待って」  オミさんがまたすっと近寄って来ました。  「ここ、少し赤くなってる。どうしたのかな?」  ふと見ると確かに腰のところに赤くポチッと。虫刺されでしょうか?  もう随分暖かくなってきたから虫も出ますよね。気がついたら痒くなってきてしまいました。  「あ、掻かないで。余計赤くなる。デジタル加工で消せるけど、やっぱり綺麗な状態でとりたいよね」  確かに言われればそうですね。でもむずむずします。  「あ、そうだ。ユズ、俺の鞄取ってきて」  「はああ?俺を使う?」  「可愛い将生君のために取って来いってんの、薬入ってるから」  香月さんがムッとしながら鞄を持って戻ってきました。受け取った鞄からオミさんが小さな茶色の小瓶を取り出しました。  「ドクダミの花を焼酎につけたやつ、これ効くから。外の撮影の時とかあるからね。虫除けのハーブスプレーも手作りよ。どう?俺って頼りになるでしょ?付き合ってみる?」  本当に頼りに……ん?僕は、また男性に告白されました。  あれ?でも、同じ人に二度告白された感じです。  ほら、にこやかに微笑むオミさんの横に同じ顔の……あ、夜叉のような顔になってますよ香月さん。  「え?何言っての馬鹿なの臣人?将生は、俺のだから」  お兄さんを呼び捨てにしていますね。怒っているのですね。  「俺の」とか、誰かに言われる日が来るなんて夢にも思っていませんでした。  できれば「私のよ」が理想でしたが、「俺の…」まあ、いいでしょう。  お母さん、お父さん。近いうちにお婿さん紹介する事になるかも知れません。

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