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第5話

早く座れと促す目の前見知った顔 急いで1番前の隅の席に座るが机の落書きなんか気にならないほどに頭の中はハテナだらけだ なんでここに居るんだ……?なんで?え???え〜……?????? ……分からない……なんで……? 「ほらプリント配るから後ろに回せ〜 ノートは使わないからしまっても大丈夫だぞ〜」 プリント…… 『お前が触ったプリントとか触れねぇよ!』 『ホモが移るぞ〜www』 やばい……触りたくない…… 触ったら何言われるか分かったもんじゃない…… カズキさんが前に来ると俺のプリント1枚だけを机に置きあとの数枚を俺の後ろ人に渡す 「余ったプリントは言えよ〜 じゃあ教科書105ページの……」 やばい……泣きそう…… 当然教科書や筆記用具なんか持ってきてない俺はプリントと睨めっこ状態 こんな事なら持ってくればよかった カズキさんがしつこく学校に行けって言う理由がわかった 自分が居るからだ 「ほら、教科書と筆記用具忘れたんだろ?使いな」 消しゴムとシャーペンに教科書を机に置かれ見上げるとカズキさんの微笑んだ顔 頭をポンとすると黒板の前へ戻っていく 無理、泣く 「……っ……ズビ……」 後ろからクスクスと笑い声が聞こえ何かを投げられる ……痛い…… 「人に物投げるな〜」 「やべ……」 黒板に目線が向いているのにもかかわらず注意をする 後ろに目でもついてんのかよ…… 結局その後何も無く俺は時々目が合うカズキさんにドキドキしながらも授業を乗り切った 「起立!気をつけー、礼!」 ん、? 立ち上がれない…… なんで!? ガタガタと立ち上がろうとするが何故かズボンと椅子がくっついている ……なんで!? もがいているうちに椅子ごとガタンっと倒れてしまい頭を打つ 「いっ!」 ……もうやだ帰りたい 「大丈夫か?」 「……っ……う、ふぇ……」 もう耐えれなかった ついに泣いた 帰りたい それだけだった 帰りたい…… カズキさんの声なんて全く耳に入らず周りのクスクスという笑い声と俺の悪口だけが耳に入ってくる 「ほら、これ持て よっと……」 ふわっと体が浮きあがる感覚がする どうやら椅子ごと持ち上げられたらしい 「お前らあんまこういうことすんなよ〜」 スタスタと教室を出るカズキさんの首に掴まり落ちないようにする 「……なんでいるの……」 「ここの家庭科の教師が産休したんだよ そこで急遽ここに転任だ まぁなんか偶然だ、お前に会う前からここに来るのは決まってた」 「最低……」 「てかそれにしても結構ひでぇな お前が来る前にお前の事聞いたら まぁ、お前の悪口が出てくる出てくる」 「帰りたい……」 「とりあえず保健室な 接着剤でケツがくっついてんだ」 「次授業とかないの」 「その次はあるけど次はねぇ」 「あっそ」 その後保健室に連れていかれてズボンを切られた 俺のジャージはお陀仏した 「ジャージ……」 「ケツが無事だっただけよかったと思え」 「……帰りたい……」 「ん」 「なに……」 「俺の車の鍵 まだまだ帰れねぇけど俺の車の中で待ってれば」 チャリっと手の上に車の鍵を乗せられる 俺の事を見つめる目から視線を逸らし俯く ぐぬぅ……顔がいい……っ! 「セフレだからって、こんなに甘やかすもんなんですか……」 「いや、こんなに甘やかすのはセフレ相手には異常だ」 「は?」 「俺基本特定のやつとかは作らねぇ主義だから それにお前中学生だから体の関係持つとしても付き合う気になれねぇ」 ……てことは…… 「中学生じゃなければ、付き合って、くれるってこと……?」 「お前の頑張り次第だな 残念な事に体の相性はピカイチだ、東大も目指せるぞ」 「……なんかおっさん臭い……」 「おっさんだからな」

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