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第6話
鍵とお金を渡されトボトボ歩きコンビニへ行ったあとカズキさんの車の後部座席に乗りご飯を食べる
カズキさん、何時くらいに帰ってくるんだろう……
俺の親結局放任主義だから問題は一切ないけどちょっと1人は寂しい
あ、結局本名聞いてない!!
「すまん遅くなった起きて……るはずねぇか」
「……カズキさ……今何時……」
「8時、腹減っただろスーパー寄って帰るぞ」
バタンっと乗り込むカズキさん
寂しかったって言ったら……重いかな……
いや、絶対に重い
だってセフレなのにそんなこと言ったらダメだ……
「何時間もこんな所に一人で寂しかっただろ?」
「……さ、さびしかった……っ!」
カズキさんは俺の心を読んでいるかのように全てを当ててしまう
両親よりも俺を分かってくれているような気がした
ますます好きになっていく自分が居てなんで俺は中学生なのか、そんな意味もないことを攻める
「あの、カズキさんの本名って……」
「和山弘樹」
「ひろきさん……へへっ……ひろきさん」
「学校ではその呼び方やめろよ?
ちゃんと先生って呼ぶように」
「はいっ!」
「そう言えばひろきさんってなんで先生になろうって思ったの?」
カチャカチャと用意された目の前のドリアを食べながら在り来りな質問をする
「なんでって……元々家庭科の先生になろうって思ってたし子供も好きだから……?」
「なんで疑問形……?」
うーんと頭を捻るひろきさんが子供嫌いじゃないことに驚く
あんなに糞ガキ糞ガキ言ってたのに……
「なんで中学生の俺とは付き合ってくれないの?」
「だから言っただろ、中学生は体の関係持ったとて恋愛対象には入らん
どうしても生徒として見ちまう
しかも中学生と体の関係持ったのもお前が初めてだよ」
「ほんと!?」
その言葉にため息をつくひろきさんにやばいと身構える
呆れられたかな……
重かった……?
「とりあえず、俺と付き合いたかったらあと数年我慢するんだな
まずは俺の恋愛対象になれる年齢まで行け」
数年……もしかしてその数年先まで俺はひろきさんのセフレで居てもいいってこと、かな?
なんか、嬉しい……やばい……口が緩む……
「あと、お前は俺の学校の生徒だ
フォローもするし守ってやる
とりあえず今後俺の教科の時だけ授業は出てみろ」
「頑張る」
「そうだな、学校行けた日や俺の授業出れた日はなんでもご褒美やるよ」
「マジ?」
「まじ」
「藤本藍華、頑張らせていただきます」
「その意気だ 辛かったら言え、助けてやる」
きっとひろきさんが俺に優しくしてくれるのはセフレだからではなくいじめられている生徒だからという方が大きいのだろう
授業中のひろきさんは見た目に反して優しい口調でよく笑う
きっと生徒から人気がある
でも、本当はちょっと口が悪いところやエッチの時の顔を学校の中では俺しか知らないと思うと優越感がある
「どうせ家に居ても味方がいないんだろ?
なら、ここに好きなだけいろ」
「…ありがとう……」
「藍華は泣き虫だな」
「な、名前!」
「ん?」
名前、ひろきさん自ら初めて呼んでくれた……
本当に……好き……
顔を覆った手の隙間からひろきさんを除くと机の端に避けてあった大量の自己紹介カードに目を通す姿
そのプリントを読んで少し微笑んだり「こいつ絵が上手いな」と独り言を話している
こういう姿を見れるのもきっと俺だけ……
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