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第124話(sideアゼル)※
シャルの腰を抱えている手で、しっとりと様々な体液で濡れた肌をなでる。
この腹の中に注ぎ込んで、貪って、自分のものだと刻みつけた。
どうしよう。
俺は満ちすぎて、今すぐ世界征服ができる気がする。
世界を征服したらその半分をシャルにあげよう。世界の半分をあげたなら、俺とお前だけの世界を二人きりで共有できるだろ?
「シャル」
「っ、ん、ぁ……?」
うつ伏せでシーツに張りついていたシャルの体を抱え、シャルの痴態がよく見えるように、ドサッと仰向けに押し倒す。
未だに脱力してぼんやりと反転した世界で、自分を押し倒す俺を見ているシャル。
汗で濡れた前髪は額に張りつき、赤らんだ頬は唾液と涙で濡れている。
芯を持ったままの性器がヒクリと震え、湿った茂みにトロリとこぼれた。
「ぁ……アゼ、ル……好きだ」
「く、っ……ああ、くそ」
滲んだ視界に俺が見えたからか、シャルは重ねて愛を告げた。
その意味を知った俺に、その言葉はあまりにも刺激的すぎる。
口元を覆って、茹で上がった顔を隠す。
いつものように背けようとするが、こんなにもイイ姿から目を逸らすだなんて、とんでもなくもったいない。
ほんの数時間前まで、こんなにも淫靡な空気を纏うとは思えなかった。なのに今はたまらなく淫らで、艶やかな男だ。
ともすれば蜜事とは無縁の禁欲的な香りすらする端正な顔。
俺がイったから律動が止み、射精できなかったままの勃起と入ったままの肉棒に襞を刺激され、無意識に強請るような表情をしている。
「っ……魔性だな、っ……」
「ふ、んん、……ん、ん……」
吸い込まれるように顔を寄せて、チュ、と唇にキスをした。そんな顔をされると、我慢できない。
そうさせているのが自分だとわかっていると、胸の高鳴りは止まらず、チュク、チュル、と舌を突き込んで味わってしまう。
止めていた律動を再開させ、激しかった一度目と違い、ゆっくりゆっくりと胎内を掘削する。
チュプ、と舌を引き抜くと、惚けきった双眸が俺だけを映して、逸らさなかった。
「ふ、好きだ、アゼル……俺は……お前、に……染まった……」
──これが、恋。
シャルは自分をかわいくないと言っていた。きっと外見のことを指しているのだろうが、俺の目にはこんなにかわいく見える。
かわいくて、綺麗で、愛おしくて。
この世界の誰よりも一番──……好きだ。
「俺だって、とっくにお前にしか染まれねぇ」
「ん、あ……ぁ……」
「これが恋だったのか……ふふん。かわいい、かわいいな……シャル。……なあ、世界の半分をやるから、俺のものになれよ」
なんて、お前が望むなら世界全てを手に入れて、跪いて差し出すぜ。
誰にも邪魔させない。
ずっと二人で抱き合っていられるような、最高の世界に染めあげてやろう。
「シャル……俺もお前が、好きだぜ」
くくく、と機嫌よく喉の奥を震わせながら、シャルが快楽でわけがわからなくなっているのをいいことに、素面では恥ずかしくてスムーズに言えないことを言う。
腰を揺するとふにゃりと破顔し、甘い声を漏らしだした愛しい勇者を抱きしめ。
俺は溢れ出した愛を持って何度も何度も、キスをした。
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