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11話/たいが

ムク犬が鷹取の事を知っていたのも面白くないが、その上カッコいいとまで形容した…。 あの時、鷹取にはそれとなくムク犬のことが気になってるのかどうか聞いてみたが、奴は『俺は犬より猫派』とかよくわからねぇ事を言ってたが。 まさかムク犬の方が、鷹取の事を気にしているなんて予想外だ。 鷹取から聞かされた奴らの事もあるし…、悠長にかまえてる場合じゃねえかもな。 ようっし!それなら早速行動に移すぜ。こんな所で会えたのも神様のお導きってヤツだよな。神様なんて信じちゃいねえが、こんな時は都合良く使わせて貰った方が利口ってモンだろ? 「なあ河合…」 「あっ!ホラ見てっ宍倉くん!あのわんちゃんっ!宍倉くんに凄く似てるよねっ」 誘いをかけようとしたら、ムク犬がドッグランにいる一頭のでかい犬を指差して、興奮気味に話し掛けてきた。ムク犬が指差す方には、長い毛をしたスマートな犬がいる。 「ね?凄く高貴って感じで王子様みたい。宍倉くんにそっくりだよねっ」 そう臆面もなく俺に言ってくるムク犬。 「俺って王子様みたいなの?」 「うんっ!外国の映画とかに出て来るお伽噺の王子様みたい」 まったくてらいのないムク犬の言葉に俺の機嫌は急上昇する。 「学校のみんなもそう言ってるよ」 その言葉がなけりゃな…。学校の奴らじゃなくてムク犬はどう思ってるんだよ俺のこと! …と、聞けないなんて、いつからこんなにヘタレになったんだよ俺…。

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