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22話/むく
宍倉くんと地下の駐車場から、エレベーターに乗り込む。
レストランは23階だから、眺望を楽しみながら食事が出来るのが、売りのひとつなんだって。
美味しいご飯と綺麗な景色楽しみ〜っ!
さっきまでのバイクの興奮も手伝って、僕の機嫌はうなぎ登り。
エレベーターも僕の機嫌の様に、ぐんぐん登っていってる。
でも考えてみると不思議だなあ。あんまり話した事もなかった宍倉くんと、バイクに二人乗りしてこんな高級ホテルにご飯を食べに来ちゃうなんて、ちょっとドラマみたいな出来事だよね。
宍倉くんが俳優さんみたいなイケメンだから、余計にそんな風に思っちゃう。
そうすると、さしずめ僕は宍倉くんのお供のペットってところ?
「着いたよ」
取り留めのない事を考えているうちに、レストランのある階に着いたみたいだ。エレベーターを降りて少し歩くと、レストランの入り口が見えてきた。
僕が普段行くファミレスなんかとは全然違って、重厚って言うのかな?凄く落ち着いた雰囲気の内装で、来ている人もなんかセレブっぽい…。
あれ…?いまさらだけど、僕こんな格好で来ちゃって良かったのかな…近くに買い物に出ただけだったから、思いっきり普段着だよ…。場違いってやつだったりしない…?
ちょっと不安になって、隣の宍倉くんを見たらまったく臆する様子もなく進んで行ってる。
「どうしたの?早くおいでよ」
立ち止まる僕を手招きする宍倉くん。い、いいのかなあ〜。でもレストランから漂ってくる美味しそうな匂いに、僕のお腹はくうくう言ってる。
え〜いっ、周りからヘンな目で見られてもいいやっ!折角ここまで来たんだもんっ。
一流の料理とスイーツを食べられるんだから、恥より食い気を優先しちゃおうっと!
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