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24話/むく

「はあ〜、こんなに美味しいお料理が食べれて最高に幸せ」 今まで本でしか見た事のなかった見目鮮やかなお料理は、どれもこれも滅茶苦茶美味しくて、まるで天国にいるみたいな幸せを僕は味わっていた。 「河合って本当にいつも美味しそうに食べるよね」 「だって、本当に美味しいんだもんっ!凄いよねっ、こんなお料理を作れるなんて憧れちゃう」 宍倉くんと向かい合わせに座った席で、美味しいお料理を食べながら会話が弾む。 「もしかして、河合は料理人に憧れたりしてるの?」 「うんっ、僕ね。パティシエにさなりたいの」 「パティシエ…」 「菓子職人の事だよ。僕、お菓子大好きだから、美味しいお菓子を作れる人になるのが夢なんだっ」 さっきから僕の視界の端に映る、色とりどりの鮮やかなスイーツたちに涎が出ちゃいそうっ!ホントは一番にスイーツに飛んで行きたかったけど、流石にそれは宍倉くんの手前もあって出来なかった。 大体、ご飯食べに来たのにそんなお行儀の悪い事しちゃ駄目だよね…。そう思い直して取ったお料理は、今まで食べた事のない美味しさで僕は感動しっ放しっ! こんなに人を感動させる美味しいお料理を作れちゃうなんて、このホテルのシェフさんは本当にもう神様みたいだあ…。 「そっか、だから河合は調理部に入ったんだね」 「うんっ!高校卒業したら調理師専門学校に進みたいから、少しでもお料理の腕を上げたくって」 「ふうん、偉いね。今のうちから将来の事をちゃんと考えているなんて、河合の事見直しちゃったな」

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