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76/話むく
結局お弁当を賭けたレースは、クラブ対抗リレーでの闘いに決定した。
やったー!
喜ぶ僕と楽しそうなミツくんとは裏腹に、宍倉くんはちょっと不機嫌そうだったけど、僕は去年の名勝負がまた見られる期待でワクワクしてる。
だから僕は宣言どおり、宍倉くん、トーイくん、ミツくん3人のモチベーションを上げるべく、美味しいお弁当を作るために皆の好きな食べ物をリサーチすることにした。
だって考えたら、3人のうちの誰が勝つかわからないんだから、ある程度の事前調査は必要だよね?
僕は体育祭の準備と練習の傍ら、宍倉くん、トーイくんミツくん、それぞれになにを作って欲しいのか聞いて回った。リサーチの結果、3人とも好きなのはやっぱりお肉だったから、それをメインに栄養とボリュームのある、お弁当メニューを組み立てる。
唐揚げ、野菜の肉巻き、ハンバーグ、一口カツにしょうが焼き。卵焼きは甘いのと出し巻きの二種類。ウィンナーはタコさんとカニさんにして、うずらの卵でひよこさんも作っちゃおうっと!
それからトーイくんの好きな海老フライと、ミツくんが食べたいって言う筑前煮。
宍倉くんは僕が作るなら何だっていいんだって…。えへへ…、なんか照れちゃうな。
ご飯は、トーイくんのリクエストはお握り。ミツくんは稲荷寿司。この際だから、サンドイッチも作っちゃおうっと!
宍倉くんは、サンドイッチが好きかも知れないしねっ。美味しいって言ってくれるかなあ。お腹いっぱい食べてくれるといいなあ…。
教室で飾り付け用のティッシュのお花を作りながら、そんなことを考えていたら頬っぺが緩んで来ちゃったから、慌てて両手で抑える。
いけないいけない!今はお仕事中なんだ。
僕が出るのは個人競技だけで、あまり練習の必要がないから準備の方を手伝ってるんだけど、力がいるような仕事はやらせてもらえない。
手伝おうとしたら、テッシュと輪ゴムを渡されちゃった…くすん。
小さな作業だって大事な仕事だけど、僕だって男の子だし力仕事やりたいのになあ…。でも与えられた仕事はちゃんとこなさなきゃ!うん!
窓際の席でせっせとお花を作っていると、グラウンドから声が聞こえてくる。声のする方を見ると、運動部の人たちが集まっていた。どうやら今からリレーの練習を始めるみたいだ。
窓から乗りだしてグラウンドを見ると、宍倉くんの姿も見えた。体格のいい運動部の人達の中、遠目からでもバランスの取れた宍倉くんの身体は一際目を引いた。
そのしなやかな身体が風のように、グラウンドを駆け抜ける。まるで本物のライオンみたい。
ああ、やっぱり宍倉くんは格好いいなぁ…。
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