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116話/たいが
ちびっ子たちが作った昼飯を食べた後、近所を散策することになったのでリビングに集まり、ムク犬と小西を待つ。
邪魔者な小動物たちではあるが、ムク犬とワイワイじゃれあってる姿は、正直和まされる。
さっきも小動物達が、いつものエプロンを着けて料理する姿には癒やされたし、もちろんムク犬のエプロン姿はいつも通りに萌え可愛いかった!
「みんなお待たせ!」
「遅くなってごめんねぇ?」
急いでリビングへ駆け降りてきたムク犬と小西。だが、ムク犬の姿に驚く!…なんだ!?この可愛いさは!?
「あれー?ムク先輩さっきと服が違うなっ」
「着替えたん…ですか?」
そう、ムク犬はここに来るまでに着ていたカジュアルな服から、可愛らしい色合いのユニセックスな服に着替えて来ていた。
UネックのTシャツに五分丈のボトムと白のソックス。その上に羽織った尻まですっぽり隠れる袖なしのパーカー。そのフードには垂れた犬耳が付いてて、大きなポケットには肉球のアップリケまであった。
なんだ?これは俺へのご褒美的な何かなのか!?
「ずいぶん可愛いの着てるね?ムク犬ってそう言う趣味?」
「違いますっ!これはにこちゃんの趣味です!!いつの間にか荷物が入れ替えてあって…」
にこちゃんって姉貴の事だよな?姉貴の見立てって事か?ムク犬の愛らしさを最大限に引き出している素晴らしいセンスだ!
姉貴グッジョブ!心の中で親指を立てる俺!
「にこちゃんが自分で作った服を僕に着せたがるんですよぅ~。こんな可愛い過ぎるの恥ずかしいのに真央くんが…」
なんと!?このナイス衣装はムク犬姉の手作りなのか。益々グッジョブだ!姉。
「せっかく似合うんだから着なきゃ勿体ないよ。ねぇ皆?」
「そうだね。ムク犬に着て欲しくて姉上が作ってくれたものなのだろう?普段袖を通していないのなら、こう言う場所でくらいは着ても良いんじゃないか?」
どうやら荷解きをしてる時にこの服を見つけた小西がムク犬に着替えさせたようだ。小西、お前もグッジョブだ!
「そうだぜ!ムク先輩似合ってるぞ」
「ムク先輩…とっても可愛い…」
メンバー全員から褒められまくり照れて真っ赤になったムク犬が可愛い過ぎる…。
こんな可愛いムク犬と避暑地を散策出来るなんて、邪魔者つきでもやはり来て良かったぜ!
少しむくれたムク犬とメンバー全員で外へ出る。避暑地とは言え、夏真っ盛りの昼下がりだ。やはり暑い。
だが、そんな暑さをものともせずに小動物たちは元気いっぱい、興味津々で回りを見渡しながら楽しげに早足で歩き回っている。
「ほら、ちゃんと前を見て歩く!シマ、あんまり先に行くんじゃないよ。三葉もシマに付き合わない」
そんな中、卯月だけは冷静に小動物達を引率していた。
「もう少し行くとテニスコートがあります。その先には馬場があって乗馬も楽しめますよ。レンタルサイクルを借りてこの辺りをぐるっと回るのもお勧めです」
「乗馬!」
「サイクリング!わあっ、楽しみだなぁ!」
「他にも美術館や温泉施設なんかもありますし、美味しいカフェやレストランなども多いので、滞在してる間は退屈知らずで過ごせると思いますよ?」
それから、ホテルのプールなんかもいいな…。ムク犬の水着姿とか見てみてぇし。いや、やっぱり温泉の方がいいか?
小動物達はいるが、あのクソ邪魔な九条や扱いが面倒な熊谷もいないし、それなりにバカンスを楽しめそうだな…。
「あれあれ~?むっくんとシマリスくんとりっくんじゃない~」
………………。
……いまのは幻聴か?居るはずのない奴の声が聞こえた気がしたが…。
「梨兎?僕の誘いを断ったのになんでここに居るの?」
……ヤバイ。熊谷に続いて桜木の声まで聞こえる。なんだ?疲れてんのか俺…?
「…宍倉。てめえまた抜け駆けしやがって…」
とうとう九条のクソ野郎の声まで聞こえる。
「梨兎?調理部の合宿があると言ってなかったか?まさか合宿先ってここだったのか」
「………コウせんぱい…!」
一年生バンビが牛島に駆け寄る。あー、こりゃ幻聴でも幻覚でもねぇわ。
な・ん・でっ!!この連中が揃いも揃ってここに居やがるんだーっ!?
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