オメガバース短編小説コンテスト
オメガバース短編小説コンテスト 受賞作品発表
皆様、大変おまたせいたしました。
「オメガバース短編小説コンテスト」につきましては、審査に時間がかかってしまい、結果の発表が当初の予定から遅れてしまいましたこと、改めてお詫び申し上げます。
楽しみにしていただいた皆様にはご迷惑をおかけしてしまい、本当に申し訳ございませんでした。
今回の「オメガバース短編小説コンテスト」では、今までのコンテストを上回る過去最多の作品をご応募いただきました。ご応募いただいた作者の皆様、応援していただいた読者の皆様には、心よりお礼申し上げます。
オメガバースは、男性と女性という二つの性別がさらに分かれ、アルファ・ベータ・オメガ、合計六つの性別が存在する世界観です。オメガであれば男性であっても妊娠するという特殊な設定だけあって、皆様から作品の応募が集まるかどうか、運営スタッフも不安がいっぱいでした。
しかし集まった作品は合計148本!
これだけ多くの作品を投稿していただけるとは、コンテストを企画したスタッフも驚いていました。
集まった作品も様々でした。物語の舞台も、現代日本っぽい舞台だけではなく、SFだったり中華風時代劇のような世界観だったり、またオメガの年齢も少年から60歳をこえたオジサマまでと、作品の幅が広かったのも今回のコンテストの特徴だったように思います。作者の皆様が心に思っていた描きたいテーマやシチュエーションが、オメガバースという設定をきっかけとして想像を広げた結果かもしれません。好きになったアルファを一途に想うけなげで純情なオメガもいれば、アルファを翻弄してしまうようなオメガなど、物語やキャラクター像も様々で、作者の皆様の想いがたっぷりこめられた作品ばかりでした。
それでは「オメガバース短編小説コンテスト」の結果を発表させていただきます
最優秀賞1作品と、入選作品10作品は、以下の通りです。
【入選作品】
『斬り裂くのは運命と識れ』(著:怜悧)
同じ世界観のもと、登場人物もつながりつつ、連作のように何作か投稿していただいたうちの一作です。多くのオメガバース作品においてオメガはどうしても不運に出会いがちですが、しかし! それを跳ねのけるような意外なキャラクター、そして大人な恋愛が描かれています。運命に翻弄されるだけじゃない、しっかりと自分の足で立つオメガが魅力的です!
『腕の噛み傷うなじの噛み傷』(著:Kyrie)
いちばんの見どころはクライマックスのオメガの可愛らしさ! 主人公が出会った美しくて力強いオメガが、クライマックスで、どんな気持ちで主人公を待っていたのか、何を思って巣作りしていたのか…! もういじらしくて可愛らしくて、読んでてにやにやが止まりません!
『偽りのΩ』(著:りお)
何が「偽り」なのか。誰が、何を偽っていたのか。文字数に上限のある短編小説コンテストですが、それを思わせないサスペンス風の展開が読者を引き込んでいきます。本作も、同じ世界観、同じキャラクターで、連作となる別作品が投稿されています。続きが気になる方はそちらも…!?
『秘めたる想い』(著:草津 玲緒)
お互いに相手がいるにもかかわらず、一瞬で燃え上がってしまった気持ちはもう止められなくて…。パートナーを裏切ってしまう罪悪感のなかで、身も心もゆだねてしまう主人公の切なさが心に響く、まさにR18だからこそ魅力的な作品です。それまでの背徳感に昂るからこそ、最後のハッピーエンドが光ります。
『僕に種付けさせてください!』(著:滝沢晴)
イケメンで優秀で次期社長候補で、親友で。そんな理想的な彼氏が自分をこよなく愛してくれる!? そんなアルファとオメガ、二人の幸せなイチャイチャっぷりがいっぱいです! オメガバースだからこそといえる、番として結ばれる幸せ…。二人を祝福したくなるような、うらやましくなっちゃうような作品でした。
『彼を忘れるためのクスリ』(著:一色とうい)
お互いに真剣で、相手のことだけが大好きで、二人とも一途なのに…。限られた文字数の中で、序盤、中盤、そしてクライマックスと、構成がしっかりとまとまった良作です。誤解がとけたあと、普段は生意気なのに素直な気持ちで、アルファに向かい合うオメガが可愛すぎます。
『俺と彼氏の不可侵領域』(著:咲櫻 菜月)
オメガが虐げられるシリアスな世界観の中で出会った二人の物語です。感情を凍らせたオメガが、徐々に心を開いていく様子がポイント! 結末まで読んでからもう一度読み返すと、物語の冒頭の可愛らしさが、もっと輝きます! きっと世界が滅んでもお互い愛し合ってるんだろうなぁ…と思わせる作品でした。
『ハッピーマタニティ......?』(著:月城 黎)
幸せな夫婦の幸せな物語。二人の出会いや、結ばれるまでをドラマとして描く作品が多い中で、マタニティストーリーという発想が光ります。そして細かく刻まれたエピソードの積み重ねという構成もポイント。エピソードによって視点が切り替わり、お互いに大事に想う気持ちが読めるのも面白い構成です。
『白い部屋で愛を囁いて』(著:氷魚彰人)
とてもシリアスな作品です。知らなかったこととはいえ、作中で描かれる悲劇はとても残酷で。アルファもオメガも素直になれなかったこそ迎えてしまった悲劇ですが、だからこそ、二人にはそれを乗り越えて幸せになってほしいですね。…そして、幼馴染が良い人すぎます!!
『優秀じゃない人』(著:芦ノ原ルネッサ)
アルファは優秀…という作品が多い中、本作はまたひと味違ったアルファとオメガが描かれます。落ちこぼれと言われている本作のアルファですが、しかしクライマックスで見せる覚悟は本当にかっこいい…! オメガの屈折した可愛さとあいまって、二人いっしょならどんな困難にも打ち勝てそうなベストカップルです!
この出逢いは運命のはずなのに
アルファとオメガという二つの性別を決定的に結びつける「運命の番」。 まさに自らの運命に出会ってしまった二人が、その瞬間から恋におちていく物語をドラマチックに描いた作品です。作中で描かれているのは、実質的にわずか数十分、長くても一時間程度しかありません。しかし時間は短くても、どうしようもなく思いを募らせていく二人の心情が、濃密に描かれています。そして二人の未来がふたたび重なり合う最後のエピソードは抒情的な余韻もたっぷり。短編らしい切れ味や、構成の巧みさ、臨場感あふれる描写など、最優秀賞にふさわしい作品でした。 作者の柚杏さんは、今回の応募作品のほかにも、他にも人気作品『FRAME OUT』(完結)や、『夜に咲くのは華か月虹か』(連載中)を「fujossy」に投稿していただいています!