琥珀犬、100話め更新しました♪
琥珀の蛇と傷だらけの犬、100話め更新しました♪
そこそこクセの強いお話ですが(;^∀^)
読んでくださってる方、ありがとうございます(*^O^*)
以前、サイトで書いたオメガの巣作りパラレルSSです。
ゲロ甘です。なんでも許せる人向け。
生ぬるい目でお楽しみください。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
夜遅くに竜蛇は戻った。
「犬塚?」
いつものようにまっすぐに寝室に向かったが、犬塚の姿がない。キッチンやリビングにも居らず、シャワーでも浴びているのかとバスルームに足を運ぼうとして、僅かに甘い匂いを感じた。
「……」
クローゼットルームのドアを開けると、スーツを掛けていたはずのハンガーがバラバラと散らばっている。
竜蛇は足元のハンガーを見て、視線を奥のクローゼットに向けた。竜蛇のスーツが一箇所に集められ、こんもりと盛り上がっている。
───始まったのか。今回は少し早いな。
Ωの巣作りだ。ヒート時のΩは番の匂いのついた布などで巣に見立てたものを作ろうとする。
最も本能的になる発情期だけに見られる行動だった。
男のΩは発情期のセックスで妊娠する。子供を欲しがる本能が強いΩほど、巣作りにこだわる。
初めてこの行動を見た時は竜蛇も少し驚いたが、自分との子を欲する犬塚に愛しさが増した。
高級スーツを何着も駄目にされたが、対した問題ではない。
今まではスーツをベッドに運んでいたが、面倒臭くなったのか、今回はクローゼットルームで巣作りを始めたようだ。
「オーダーのスーツだぞ。悪い子だ。犬塚……」
咎める割には甘すぎる声音で竜蛇はスーツの山に近付いた。竜蛇の声に反応して、スーツの山がピクリと揺れた。甘い匂いが強くなる。
竜蛇は膝をつき、バサバサとスーツの山を崩して、愛しい番の顔を見ようとした。
「……っ」
ようやく見えた犬塚の姿に竜蛇は苦笑した。犬塚は竜蛇の革靴を両手で掴んで噛み付いていた。まるで好物の骨に噛み付き、夢中でしゃぶりつく犬のようだ。
上等のカーフスキンの靴に歯型がつき、犬塚の唾液で濡れ光っていた。
犬塚は虚ろな瞳で竜蛇を見上げた。
「ああ、本当に悪い子だ。犬……おっと」
言いかけて犬塚に腕を掴まれ、彼の巣に引きずりこまれた。犬塚は裸だった。彼の体温は高く、体が火照って仕方ないのだろう。
犬塚の両手が竜蛇の頭を抱き寄せ、すぐさまキスを求めた。舌を絡ませ合い、唾液を啜り合う濃厚な接吻に竜蛇の内にも火が灯る。だが……
「……んっ。たつだ……?」
竜蛇は唇を解いて彼の巣から這い出た。四つ足のまま、背後に下がっていく。犬塚は不審げに竜蛇を見た。
「やれやれ。犬塚。今度は靴を駄目にしたな」
ヒートの度にスーツを駄目にされてきたが、今夜はお気に入りの靴を駄目にされて、ほんの少し意地悪な気持ちになったのだ。
別にまた買えばいいだけの話なのだが、犬塚を巣から出させて、自分のもとまで這って来させたい欲求に駆られた。
「や……たつだ、来いよ……」
犬塚がもどかしげに身悶える。竜蛇に両手を広げて「ここへ来い」と求めた。素足がぐしゃぐしゃに集められたスーツを蹴って乱す。
「お前が来るんだ」
「ち、くしょ……もう、欲しい、志信……っ!」
犬塚は大きく股を開いて腰を突き出し、濡れそぼったアナルを見せつけた。その浅ましくも淫らな姿に竜蛇の喉が鳴る。竜蛇の体も熱くてたまらなくなるが、ぐっと堪えた。
竜蛇の息が荒くなり、こめかみを汗が伝ったのを見た瞬間、犬塚が四つん這いで巣から飛び出し、顔を寄せて竜蛇の汗をべろりと舐めた。
「幸人」
野生の獣のような犬塚の黒い瞳にゾクゾクしながら、竜蛇は犬塚にキスをしようとしたが
「……?」
犬塚は竜蛇のネクタイを咥えて、ぐいと引っ張った。
「幸人? 何をして……」
「……あそこ……あそこで……子供をつくるんだ。戻らなきゃ……はやく……んっ」
犬塚は竜蛇のネクタイを咥え直して、四つ足のまま後ずさりして彼の巣に戻ろうとしていた。
竜蛇との子を作る為に作った。竜蛇のスーツをかき集めて、竜蛇の匂いに包まれた彼らの巣だ。
「ああ、可愛い。幸人」
「……ん、ふぅっ……ぁやく……っ!」
竜蛇は四つん這いで一気に間合いを詰めて犬塚の痩身を掻き抱き、スーツの巣の上にダイブした。
「幸人。愛しているよ」
「志信…しのぶ…ぁあ、し…のぶぅ…んう」
犬塚の誘惑に逆らう事をやめて、竜蛇は愛しい番の裸身に溺れたのだった。
おしまい。
お粗末さまでした。m(_ _)m