明日完結します/またネーミングの話
「終の棲家(ついのすみか)」
https://fujossy.jp/books/20450/
明日(1/23)、第5話で完結となります。
完結したら読む派の方、明日朝の8時に全員集合。
これをきっかけに「喫煙室」へのアクセスも増えているので再掲。
「喫煙室」
https://fujossy.jp/books/5536
前のブログ記事で「1万字に至らない」と描きましたが、ちょこちょこ直していたら超えました。200字程度ですけどね。初稿では和樹の登場シーンがこんなに多くなかったのです。でも、「その恋の向こう側」未読の方には不親切過ぎるかなぁと思って少し増やしました。
「その恋~」既読の方は理恵の印象がだいぶ変わったのではないかな、と思います。
でも、人ってそんなもんでしょう。立場が変われば印象も変わる。
久家だって「喫煙室」「終の棲家」では小嶋一筋のようですが、「その恋~」では、「長い付き合い」だから、「何度もくっついたり離れたりして」いたことを暴露しています。若い頃はそんなにお互いに一途じゃなかったんですよ、二人共。でも、お互いの「やがて必ず帰ってくる場所」ではあった。そういう関係性もいいなと思って書いた作品です。
さて、このブログでは過去にも何回かキャラのネーミングについての話を書いていますが、今回もちょっと書いてみます。
久家の「信夫」と書いて「しのぶ」と読ませる名前は、国語学者・国文学者・民俗学者、また歌人でもあった折口信夫(おりくちしのぶ)からとっています。ちなみに「おりぐち」ではなく「おりくち」です。
折口信夫は同性愛者でした。弟子の一人である春洋(はるみ)を養子に迎えますが、彼は事実上の配偶者だったといいます。……というぐらいの知識と、「信夫と書いてしのぶと読む」というネーミングセンスが良いなと思って久家の下の名前としてつけたのですが、その後折口について調べていると、春洋が戦死した後も供養を欠かさず、そして晩年は神経痛と胃癌に苦しみ、寄宿していた書生が介護をした……というのを知って驚きました。
小嶋が胃癌を患い久家が面倒を見る、という設定はそれを知らずして作った設定なのです。なんだかすごい偶然だなあと思いました。ちなみに折口は結局その胃癌で66歳でこの世を去りますが、小嶋は生きてますし、結構しぶとく生き抜く予定です。久家も長生きタイプ。たぶん。
なお、折口の最期を看取った書生は岡野弘彦と言い、現在もご存命です。……と書きかけて、一応ご存命かどうかをググってまた驚きました。岡野弘彦の誕生日は7月7日だそうです。涼矢の誕生日。現在96歳でいらっしゃるそうですが、どうぞこのまま更にご健勝にお過ごしいただきたい。
あと、全然まったく関係ないし、みなさんが目にする機会はないのですが、私が高校の頃に文芸部の部誌に部長として最後に掲載した(つまり高校生活でもっとも思い入れを持って書いた)お話の主人公が「春洋」というのです。読み方も同じく「はるみ」。これは知り合いの名前をもじってつけたもので、もちろん折口信夫とは無関係です。
いやぁ、こうも偶然が重なると、ちゃんと勉強しようかしらって気になりますね、折口学(折口の研究は多岐にわたっているので総称としてこう呼ばれます)。ちなみに私は岡野弘彦先生の和歌の講義を受けたことがあります、エッヘン。講義中にもたまに折口先生のお話をされることがあったような記憶はぼんやりとあるのですが、あまり真面目に聞いていなかったのが悔やまれます。
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