『俺自身を超えた恋について』毎日更新中

 

いつまで続くか分かりませんが、珍しい事態ですので、せっかくですから裏話でも少し。無粋な語りなので、純粋に作品をお楽しみ頂いている方は無視して頂ければ幸いです。

 

完結済の拙作『父の誘惑、羊の劣情』をご覧頂いた方はお気づきかと思われますが、本日更新分に登場したマーロンの父親は、『父の誘惑〜』に登場したセバスチアン・ヒルデブラントです。

 

実は本来、セバスチアンはBL作品のキャラクターとして登場する予定ではありませんでした。彼に関する「本編」と言うべき作品は、時系列で言うと『父の誘惑〜』と『俺自身を〜』の狭間に当たる時期のもので、80年代風の荒んだヴァイオレンス物になるという構想……だったのですが、こちらが完成する前にコンテスト応募用作品が出来上がってしまったため、本末転倒にもお蔵入りとなった次第です。いつか完成した暁には、違うサイトで掲載したいなと目論んでいます。

 

セバスチアンが幻の本編でも、『俺自身を〜』においても、女性といちゃついている一方、『父の誘惑〜』のヨシュアはと言いますと、恐らく学園を出た数年後には病を得て亡くなったのではないかと想定しています。当時の物理的去勢手術は術式、投薬、そして後日のケアが未だ確立されていないことによる、副作用、後遺症の発症率が凄まじかったそうなので、本編ではその下りを少し書きたいと思いますが……

 

親子揃ってろくでなしのヒルデブラント一族ですが、好き勝手に生きた挙句あっさり解脱を気取る父親と違い、息子はまだまだ苦悩し、葛藤する予定です。

セバスチアンの受難は、他の登場人物達と共有する神に関する解釈の違いを発端としています。

比べて、複雑なアイデンティティ認識や度重なる不運から、恐らく不可知論へ傾きつつあるマーロンと、自らがWASPであることを疑いもしないエディは見えているものが違うし、同じ言語を用いていても会話は噛み合いません。この相違については意識して書いていきたいと考えています。

 

『俺自身を超えた恋について』は、恋の盲目性と暴力性、そして相互不理解についての物語です。信用のおけない語り手エディが見えているもの、見えていないもの、物語を邪推して楽しんで頂けたら幸いです。

 

https://fujossy.jp/books/21251