中国ドラマと言えば…。
前回「バディ物」として、「原生之罪」をご紹介したのですが、よりBLっぽくて、有名なのは「陳情令」だと思います。(ただいまHuluで観られます)
原作は本格(?)BL小説「魔道祖師」で、記録的な大ヒット!
ラジオドラマ→アニメ→ドラマとメディア展開も次々と大ヒットの「中国ブロマンスドラマ」の代表格です。同じ原作者で、いま日本では「天官賜福」というアニメをやってますよね。(早く実写ドラマ化して欲しい…アニメはどうも話が入って来ない…)
ここで再確認ですが、中国では「BLドラマ」の放送は、地上波はもちろんWEB配信でも禁止です。
てか、ドラマ、映画、全てにおいて、放映前には今でも「検閲」があり、引っ掛かると時間とお金が全部無駄、という恐ろしいことになるので、検閲に引っ掛かると分かっているような作品は最初から作らない、ということになってます。
なので「原作BL小説→ブロマンスドラマ」が固定化しつつあり、原作は置いといて、ドラマの中の「恋愛要素の無い友情に萌えを見出す」というBLの原点が(一周回って)あります。
で、「陳情令」に戻りますが…。
基本、無口で真面目な優等生の藍家の若様・忘機(白い人)と、江家で伸び伸び育った自由奔放な魏無羨(黒い人)の友情と絆の物語です。そこに色んな仙家と呼ばれる名門一族の若様たちがゾロゾロ関わってきて、そりゃもうお腹いっぱいのイケメンてんこ盛りドラマです。(予算が無いからって無名の俳優ばっかり集めたらしいですが、そこからスターの出ること、出ること!)
あらすじ(?)はここまでとして、原作では白い人(攻)×黒い人(受)なので、知ってる人は知ってるし、ドラマしか知らなかった腐った乙女たちも「攻×受」の設定は受け入れるわけです。
次に、日本同様、腐る乙女がいればそこに二次創作も生まれるわけで…。中国のそういうWEB上などで、白い人演じる俳優(王一博)が攻×黒い人演じる俳優(肖戦)が受を前提としたマンガとかコラージュとか溢れんばかりだったらしいのですが…。
これがなんと、純粋に「ブロマンスドラマ」としてしか観ていなかった「腐ってない乙女たち」の怒りを買うのです。
「肖戦は女じゃない!」とかなんとか…。そして、それを受けた腐った乙女たちとのバトルが勃発してしまいます。まさに炎上!
いやいや、冷静に考えましょう…中国の乙女たち。
実際に王一博と肖戦は仲良し(一時「付き合ってる」との報道あり→ないない)でしたが、ナニはヤリませんからね。一方で原作で白い人と黒い人は、そりゃもう濃厚にヤッてますから(笑)それぞれ別物じゃないですか(笑)
ここからは想像ですけど…。
「アタシの肖戦を女みたいに描かないでよ!」「男の肖戦が、王一博に女みたいに抱かれるわけないじゃない!」
対して
「無羨は忘機の女なのよ」「肖戦は無羨なんだから、王一博に抱かれて当然じゃない!」
う~ん、不毛な言い争いだと思うのは私だけではあるまい…。
で、このバトルが白熱しすぎて、一時は肖戦がお仕事出来ないくらいになって、しばらく(数カ月?)お休みしたくらいだったそうです。(←中国のファンブログ情報)
原作で「受」の黒い人を演じる以上、肖戦に「受」を期待されるのは仕方がない事だと思うんですけど…。
(個人的には白い人の「受」も捨てがたいと…)(笑)
でも、BLを受け入れられない人には、原作はどうあれ、ドラマ上の友情以上の期待は迷惑だと感じられるわけですね。
私は日本でも「ナマモノ二次創作」というのを知らないので何と言えませんが、自分の推しがBL化されて「受」役に振られてそこまで怒ったりするんでしょうかね~?
多分、日本じゃそこまで揉めないと思うんですよ。知らんけど。
そして、ある時から、やたら肖戦が軍とか政府関係のキャンペーンなどに駆り出されてるな~、と薄っすら感じ、いきなり新作ドラマで硬派な時代劇に出たり、中国国産ブランドのCMに出まくったりし始めます。
(なぜか相方の王一博は、ヴィトンとか海外ブランドのCM出てた)
女子たちの騒動のせいで、「肖戦=BL(しかも「受」)」というレッテルをおそれた事務所サイドかどこかが、慌てて政府に睨まれないような仕事ばかりさせるようになった、という印象です。そしてまた肖戦がCMすると、恐ろしいほどに売れるんですよね~。(肖戦がイメージキャラクターを勤めるメンズブランドの新作発売日に行列が出来たのもスゴイが、ほぼ全部女性だったのも異様な光景)
実際、中国のファンの熱狂ぶりと言うのは、中国経済に影響するほどになっているんですね~。
つい最近までそれがK-popファンを政府が警戒する理由の1つだったわけですが、どうもBLファンというのもヤバいぞ、と政府が気付いたような気がします。
中国ドラマ、沼も深いが、政治的な闇も深いぞ、というお話でした。