『オーセンティックイントリュージョン』『恋し合う』
寛容な読み手の方々のおかげで二作品を終えることができました。
本当にありがとうございました
これより先は最も書きやすい文体でお話をします
読み手の方々に向けて書く、こういったものは常に丁寧であらねばと心がけているのですが
作品を終えたばかりで今回はだいぶ力を抜いて独り言に近いものを書いております
不遜あるいは不適当と感じられる部分がありましたら申し訳ありません
それにしても、もっとうまい題名はなかったのかと、いつも自責の念に駆られる。
私の作品のあらすじの欄が空白なのは、
これはどういった物語なのか、ということを簡潔に書けないからで、
恐らくこれによる読み手獲得の機会損失はかなりあると思う。
いつか思いつくさ、と思って物語を進めるのだが、
一向に湧いてこない。
物語が完結してもまだ思い浮かばないことを鑑みると、一度宿題のつもりで真剣に向き合った方がいいと思う。
『題名やあらすじがどうあれ、面白ければ関係ないはず』
あるいは『そういった部分をセンス良く思いつくのも才能』
という自身の冷酷なトップドッグの声に打ちのめされながらも、
『才能のあるなしに関係なく、書ければいいもんね』
とあっけらかんと開き直ることもできない、
そして興味のないことの前では文章の書き方を忘れてしまう。
私は非常にバランスの悪い、中途半端な書き手だとここにきて痛感している。
そして、『恋し合う』にしても『オーセンティックイントリュージョン』にしても、
今の私にあれ以上のラストは書けない。
皆様には力不足をどうかご寛恕頂きたいと請うのみです
私の最初の子供はユーイとサリュで、今でもとても愛している。
彼等の違うラストの話はあと二つか三つぐらいあり、そのうちの最も幸せな結末があれだった。
だがコンテストのために見直したところ、直すところが多すぎて思ったより手がかかり、後悔。
彼等にはもう少し、何かしらしてやれたのではと思っている。
この話の初期型(ここに載せているのとはかなり違う)は昨年生まれた。
それを書いている最中はほとんど何も食べず、風邪薬を飲んでも眠らず、
とにかく先が書きたくて体が熱かったのを憶えている。
あの時のような身を削る書き方はもうできない。
ちなみに直しながらこちらに載せていた時は、とんでもないスローペースだった。
ハルとスーズの物語については、その間にちょこちょこ書き、
初めは演劇でいう台本のような体を成していた。
あとから文章を足す形でこちらに載せていったものの、実はその台本には結末がなく、
後半はほぼ都度考えるという状態・・・
そのためほぼ毎日更新していたのが、次第に数日を要することに・・・
何より、筆が遅いのを痛感。
しばらくは長い話を書きたくない。
実はユーイ達をあまりにも愛しすぎてしまい、
親離れしなければならないと思ってハルとスーズを作ったものの、
ハルの名前はなかなか決まらず。題名も決まらず、仮題のまま進行。
ユーイの名前が降ってきた時は、「これ以外に考えられない」と思っていたのに・・・
(ちなみに名前を漢字にしないのは、
彼等が生活している国を何となく曖昧にしているから
というのもありますが、
名前は記号のようなもの
という意識で、あまりそこに意味を詰め込みすぎないようにするためです
なので苗字もつくらないことがほとんど
そして、本人の性格とかみ合う名前の響きを探す方に重きを置いているのです
更に云うと、漢字が好きなので、
それ故に登場人物の名前をコテコテにしてしまう自分への抑制でもあります)
ハルとスーズの話は欠点だらけではあるものの、
約半年間彼等の話を書いてきて良かったと思う。
もっと色々なものを読まなくてはいけないと思ったし、
自分がどういう人間なのかを知る機会を多くもらった。
私はずっと一人で書いてきた。
同人もサークルもその他、ものを書く仲間と出会ったことがない。
公募以外の、人目に触れる場所に自分の書いたものを載せたのはこれが初めてだった。
しがらみがない反面、誰からの反応もなく、
いつ書くのをやめたとしても惜しまれもしなければ文句も出ない。
故に上達もしないのではないかとも思う・・・が、
時々悪魔に魅入られたように『書かざるをえない』衝動に駆られることがある。
書く欲望を囁くのは悪魔だが、読み手の方々は天使である。
(自作品の閲覧数を私は勝手に『天使のあしあと』と呼んでいる)
悪魔が与えた衝動を天使の皆さまに捧げられるぐらい磨き上げるには、
研鑽のために少しでも多くのよい作品に出会っていきたい。
そう云えばユーイ達の話をコンテストに上げるため、9月30日締切当日になって奮闘していた時、
(この日だけで6章上げた。もちろん一から書いたわけではなく手直しのみだが大変だった)
一章公開する度に、いいねをくれた人がいる。
名前が表示されないので、複数人かも知れないが、多分、同じ人だと思う。
あまり一個人のことに言及してはいけないと思いつつも、ここでお礼を申し上げたい。
物語の欠点には恐らく眼を瞑って下さっているのだろう。
「ここまで読んだんだから最後まで読んでやるよ」
という温かい気持ちだったのだと思う。
リアルタイムでもらったこの反応は本当に嬉しかった。
文明の利器であるネットにも感謝した。
もちろん、どんなタイミングでもどんな方にでも、
読んでいただけるだけで常に嬉しい。
ただ、体中の血液をエネルギーに変えて燃焼しようとしている正にその時、
この世界のどこかで、
まだ冷めきっていないやわらかい作品の一部を
いち早く受け取ってくれた人がいたこと。
そこに感動と感謝の念は尽きない。
ハルやスーズ、そしてユーイとサリュは今も物語の中で生きているので、
いつかまた機会があれば彼等の別の話を書いてみたい。
他のキャラクターも、もう少し何とかしたかったという気持ちがないわけではない。
未熟な書き手の私は、書いている間は自作品以外を読めなくなってしまう。
これから少しの間、小説以外にも漫画や映画、音楽に親しみ、興味の新境地を開拓したい。
できればすぐにでも新しいものに挑戦したい気持ちはあるが、
このままでは確実にエネルギー不足になるし、作品も代わり映えしないものになってしまう。
昨今の流行に追いついていけるかは分からないが、
多彩な人物や物語を書けるようになれたらいいと思う。
悪魔の囁きと天使のあしあとの間で、
私はここで書いているとき、とても充実していた。
人生の中でいつか小説の神様の姿を見ることができたら、と今日も願ってやまない。