まだクリスマスネタ続けるよ私は
私の時空はまだクリスマス🎄🎁🎅🌟
⚠️前回のブログの続きです。クリスマスに喧嘩しちゃったけど、クリスマス要素はもうほぼ無いです。
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ぬくぬくしていると、無情にも掛かってきた電話。
スマートフォンを手に取って画面を見ればクソ上司からだった。
嫌な予感がするけれど、無視するのはいけないと思って電話に出る。
「はい……」
上司が申し訳なさを感じさせない声で出勤しろと伝えてきた。
ここで旅行中ですとか何とか、嘘をつければいいのだけれど、嘘をつくのが苦手な俺は正直に「はい」と返事をしてしまって。
電話を終え、静かにベッドから抜けようとしたところ、侑生に手首を掴まれ止められた。
「何?誰?」
「……上司」
「は?……で、なんて言われたの?」
「出勤しろって。今から行ってくる」
「……ふざけてる?」
「ううん。真面目。言われたから行かなきゃ」
「いやいや、何でだよ。今日は休みだろ。」
侑生の機嫌がわかりやすく悪くなっていく。
けれど仕方がない。上司に言われたんだから行くっきゃない。
「ごめん。でも行かなきゃ」
「何で断らないの?」
「……仕方ないだろ」
「仕方なくない。」
上司と侑生に板挟みされているような感覚。
ムッとして手首を掴む手を振り払い、ヨタヨタしながら着替えを持って風呂場に向かった。
髪と体を綺麗に洗い、髪を乾かしてからリビングに戻る。
侑生は拗ねてるのかまだそこに居なくて、キッチンに置いてあったバナナを引っ掴んで食べ、牛乳で流し込んだ。
歯を磨き、家を出ようとしてスマートフォンを寝室に忘れてきた事を思い出し重たい足取りで寝室を覗く。
侑生は背中を向けて寝転んでいる。俺が寝ていた場所に放置されているスマートフォンを取って部屋を出ようとして、低い声で名前を呼ばれた。
「っ、何」
「本気で行くの」
「……仕事なんだよ。行くしかない」
「……はぁ。」
大きなため息を吐かれてムカついた。
掛け布団を剥ぎ取ってやり、気が付けば怒鳴っていた。
「仕事だから仕方ないだろ!俺がクビになったらどう責任とってくれるんだよ!」
「……」
「俺がどうこうできる問題じゃないんだよ!侑生の分からずや!!」
ベッドから睨んでくる侑生を同じように睨みつけ、今度こそ部屋を出た。イライラしながら靴を履いて玄関を出て鍵を閉める。
「……ムカつく」
乗り込んだエレベーターのボタンを押す。
その時目に入ったのは今朝貰ったばかりの指輪。
途端に悪い事をしたように思えて、さらに気持ちが沈んだ。
「はぁ……」
俺って最低。
クリスマスなのに。急に予定を入れたのは俺なのに。
気分は最悪で、重たい足取りで会社に行く。
出勤しても誰も感謝してくれない。あの上司ですら。
別に『ありがとう』がほしいわけじゃないけど、休みに出てきた人に対して挨拶もしないのはどうかと思う。
いつもはあまり気にならない事も、侑生と喧嘩をしたおかげで敏感になっているみたいで気になって仕方がない。
デスクに着き溜息を吐いたタイミングで名前を呼ばれる。
時間が経つにつれどんどん蓄積されていくマイナスな感情。
侑生に連絡をすることも、連絡が来ることも無く、きっちりと終業時間まで働いた。
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帰るのが嫌だ。
きっと侑生は怒ってる。
玄関前に着いて、鍵を開けるのが億劫になる。
「……謝れば、許してくれる、はず。」
ぐっと手に力を入れ、意を決してドアを開ける。
「……ただいま」
呟くように小声でそう言ってリビングに行く前に洗面所に寄り手を洗った。
音がしない。その代わり俺の心臓はうるさい。
手を洗い終え、恐る恐るリビングに行くと、侑生がテーブルの席に座ってパソコンを開きタイピングしていた。
「ゆう」
「……おかえり」
名前を呼べば、冷たい声が返ってくる。
今日はクリスマスなのに、楽しい時間を過ごすはずだったのに。俺がそれを壊した。完全な自業自得だけれど、自覚した途端に悲しくなって視界が滲みだす。
「っ、侑生、ごめん、俺……っ」
「……」
「ごめんなさい。俺が悪いのに、侑生が悪いみたいにキツいこと言って……。本当にごめんなさい。」
チラッと侑生が俺に視線を向ける。
何も言ってくれない。それがまた悲しさを増幅させる。
「──洸」
本気で頭を下げて許しを乞おうとして、床に膝をつこうとした時、温度のない声が俺を呼んだ。
「洸がクビになったとしても、俺は責任を取れるよ。」
「え……」
「洸を一生、生活に苦労せずに生きられるように、俺はできる。」
突然、そんな話をされて理解ができず、中途半端な体勢で止まってしまう。
「クビになったらどう責任取ってくれるんだって言っただろ。」
「あ、の……それは……」
「俺は洸に苦しい思いをしてほしいわけじゃない。だから今、洸がクビになったとしても、俺は万々歳だね。休日に相手の都合も聞かずに突然『来い』って言う上司の下で働く洸は見ていたくない。……まあ、それは俺がただ洸と一緒にいたいっていう我儘もあるけど。」
固まっていると、手が伸びてきて、俺の右手を掴む。
引っ張られ距離が縮まった。
「それに、一緒にいたいっていう想いは今朝も伝えたつもりなんだけど。」
サリ、と撫でられた薬指。
思い出すのは今朝、侑生に伝えられた言葉。
「……」
「洸、泣いちゃった?」
「……ごめん。俺が、どうしようもなく自分勝手で……。」
「何言ってるの。そんな洸も含めて、全部が好きなんだよ。それから……俺もごめん。朝、嫌な態度とった。洸も行きたくないのに責めるようなこと言って……。ごめんね。」
「違う、侑生は悪くなくて……。」
ポロッと溜まっていた涙が零れて、侑生がそれを拭ってくれる。
「明日は、仕事ない?」
「うん。明日は休み。」
「俺も休みだから、明日こそゆっくり過ごそう。今日の分もイチャイチャしまくろうね。」
「ん、ふ……っ、イチャイチャ?」
「うん」
侑生の手が俺の腰を抱いて、彼の顔が俺の胸に埋まる。
そっと頭を撫でるとグリグリと擦りついてきて、ただただ可愛い。
「いっぱい甘やかしてあげる」
「……洸が、俺を?」
「うん。」
顔を上げた侑生はキラキラ目を輝かせた。
甘やかされるのが嬉しいらしい。
そしてその日の夜、俺は言っていた通り侑生を甘やかしながら繋がって、二人で幸せな夢を見た。
翌朝、裸のまま抱きしめられた状態で目が覚めた俺は、そろそろ転職を考えてもいいのではと思いながらも、実行に移せず働き続けた。
結果、数ヶ月後我慢の糸がプツンと切れて、それからは今よりもずっと心が平和な日々を過ごすことになる。
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誤字脱字は見逃してください🙇♀️
クリスマス番外編、これにて終了です🙋♀️