『幸せな存在』の読者さまへ 小話です

今日は小話です。

幸せな存在に出てきた菅野×小森と、短編『今も初恋、この先も初恋』https://fujossy.jp/books/23577
で書いた駿×想です。

 

 

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無事に付き合い出した駿と想の、江ノ島デートのワンシーンです。

 

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「想、今日はスーツじゃないんだな」
「……駿に合わせたんだ。変?」

 

 白いリネンシャツをラフに着こなした想は、とても可愛かった。

 俺は青で、想が白。

 もうこれは俺らの定番カラーになっているよな。

 

「いや、想は何を着ても、可愛いよ」
「……て、照れる。あ、あのね、今日は行ってみたいお店があるんだ」
「どこ?」
「かんの屋さん」

「あぁ、土産物屋か。で、何を買うの? もしかして、またチャンバラの剣か」

 

 想が少し不服そうな顔をする。

 

「……そんなんじゃないよ。これを見て」

 

 想がスマホの画面を見せる。

 口コミ情報か。

 

「あのね、この『こもりん饅頭』っていうの……食べてみたいんだ」
「変な名前だな」
「可愛い名前だよ」

 

 そんなわけでかんの屋に行くと、奥でその饅頭が特別に食べられるようになっていた。普段は北鎌倉の月下庵茶屋でしか食べられないそうだが……休日限定だそうだ。ラッキーだな。

 

「へぇ、喫茶も始めたのか」
「駿、食べていこうよ」

 

 注文して待っていると、奥から可愛らしい小坊主くんがお盆にお饅頭とお茶を載せて運んで来た。

 緊張しているのか、手がカタカタと震えて可愛いな。

 その奥からじっと心配そうに小坊主くんを見つめる視線を感じて、「おっ」っと思った。

 あの優しく見守る視線に見覚えが……そうだ、まるで俺のようじゃないか。

 

「ど、どうぞ、とっても美味しいお饅頭ですよ」

 

 

「こしあんは北海道の小豆で作って、お砂糖は……この型押しは満月を表しているんですよ!」

 

 小坊主くんが熱弁するのも、可愛い。

 

「ありがとう」
「あ、あのですねっ、どうかお幸せに、南無~♫」

 

 びっくりした。

 まるで俺と想の関係を知っているかのようじゃないか。

 想の顔をちらっと見つめると、頬を真っ赤に染めていた。

 

「駿……あのね、口コミには続きがあって……小坊主さんが接客していたら幸運で、『お幸せに』って言ってもらえたらね、恋が成就する御利益があるそうなんだ。まさか……僕らに言ってくれるなんて」

 

 俺たちの夢が、また一つ叶う。

 俺たちの初恋は、ずっとずっと続くんだ。

 

 

 

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それから今日の更新で登場する予定の、滝沢家のリビングの写真をどうぞ。