『幸せな存在』の読者さまへ 今日も小話です

本日もこちらに小話を置きます。

その前に読者さまがあつ森で作ってくださったイメージ画像を。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『今も初恋、この先も初恋』https://fujossy.jp/books/23577

江ノ島デート・番外編

 

 

……

 想が美味しそうに饅頭を頬張る様子を見つめているだけで、幸せだった。

 

「美味しい?」
「とっても、駿も?」
「あぁ」

 

 想の笑顔が眩しくてクラクラするぜ。

 あとであの唇を、また貰いたい。

 それにさっきの話……御利益のある饅頭だと思うと、もっともっと食べたくなる。

 

「駿、もっと食べたいね」

 

 想が甘い顔で強請る。もちろん即OKだ!

 

「そうだな。あのーすみません。追加いいですか」
「はーい、お待ちくださぁい!」

 

 小坊主くんを呼ぶと、嬉しそうな顔を浮かべ、タタッと小走りでこちらに向かってきた。

 ところが、コンクリートの床で、つるんと滑ってしまったようで……

 派手に転んで、土産物の棚に激突してしまった。

 手に持っていたトレーが、ころころ……

 弾みで土産物のスイカのビーチボールも、ころころと俺たちの方に転がってきた。

 あぶねー 

 その隣りはハリセンボンの置物で尖っていたから、ヤバかったな。

 

「いたた……」
「大丈夫?」

 

 手を差しだそうと思ったら、シュッと間に入ってきた黒い影に制された。

 

「こもりん! 大丈夫か」
「か……かんのくぅん。僕、また転んでしまいましたよ」
「それより、お茶を持っている時でなくてよかったよ」
「……ううう、お手伝いをするつもりが、お邪魔ばかり」
「そんなことない! こもりんは精一杯やってくれて、それがすごく可愛い!」
「か、可愛いですか」

 

 ちょっと待ったー! なんだ、この二人の世界?

 男同士なのにラブラブすぎるぞ。(いや。それは俺たちも同類だが)

 それに、この声って……

 想もその様子をじっと見て、不思議そうに首を傾げていた。

 

「駿……菅野って、もしかして……彼……あの菅野なのかな?」
「やっぱり! 想も思う? B組のクラス委員だった……菅野か」
「そう! あ、この『かんの家』って……もしかして……」

 

 高校はクラスが多かったので、同じクラスにならないとあまり話す機会がないヤツも大勢いた。菅野もそんな一人で、でも、顔はよく覚えている。

 

「あのさ、もしかして……由比ヶ浜高校に通っていませんでした?」
「え?」

 

 俺たちの方を向いた顔は……やっぱり菅野だった。

 爽やかでいかにもいい人っぽい風貌……懐かしい同級生の顔だった。

 

「え! あ……あれ? もしかしてC組の……えっと青山と……し……」
「白石 想だよ。久しぶり、卒業以来だね」
 
 驚きの再会。

 そして何かが繋がったような、ワクワクする再会になった。

 

 

 

 

 

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実は駿と想は、菅野くんの同級生だったのです。

(このお話の駿と想は再会して間もない頃なので27ー28歳のイメージです)

こもりん、可愛いですね。
絶対転ぶと思っていたんです😆(ひどい作者だわ)

 

 

今日の【幸せな存在】のコラージュです。