甘えたオメガ 落書き 蒼太の場合

蒼太の場合も書いていました。

チマチマ書いてたので今回は睡眠時間を削ることはありませんでした。

元通り8時間程です。よく寝てます。

今回も誤字脱字の確認してません。ノリと勢いって大切。

 

本編もぜひご覧下さい💛

https://fujossy.jp/books/18131

 

 

近々陰キャ×陽キャの本編更新します。

 

 

⚠️エッチシーン書こうとしたけどくどい気がしてやめました。需要あれば後程書いてどこかに更新したいです。

エッチシーンないですがチン出てるところあるので念の為R18です。

 

 

 

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きっと発情期前のせいだ。
体がだる重い。それから嫌な事ばかり考えてしまう。
中学生のとき、初めての発情期に見舞われて、理性が働かずに当時唯一知り合いの中でアルファだった真樹を襲ったことを思い出す。
それからは大変だった。
オメガへの差別は今よりも酷い頃だったから、自業自得だけれども消えてしまいたいほどに辛かった。
ただ父さんがアルファで母さんがオメガであったことが救いで、両親からの愛情はたっぷりと受けることができた。
大変だったけれど、母さん達はいつも「大丈夫」と言って笑って、そうして僕を守ってくれていたのを思い出す。同時に、そんな優しい母さん達を悲しませたことも。
「……ぅ」
一人暮らしの部屋で膝を抱えて、そこに顔を埋める。
思い返すとあの日からほぼ毎日、母さん達は夜遅くまで話し合っていた。
僕の前では絶対にそんなところを見せようとしなかったけれど、母さんが泣いていたことは知っている。
せめて、ベータで産んであげられたら、と漏らしていたのを知っている。
「うぅ……」
思い出す度、消えてしまいたくなる。
寝転んで、クッションを抱きしめる。
こんな時って、恋人を頼ってもいいのかな。
ふとヒロ君の顔を思い出して、スマートフォンを手に取りメッセージアプリを開ける。
何て打とうか悩んでから、スタンプをひとつ送ってみる。
直ぐに既読がついて、何か返事が来るかなと思っていたのに電話がかかってきた。
「あっ、もしもし……」
「蒼太?今家にいるの?スタンプだけ来たからどうしたのかなって思って電話かけたんだけど……」
「うん。家にいるよ」
返事をすれば、少しだけ流れた沈黙。
どうしたんだろうと思って口を開けたのと同時に「何かあった?」とさっきよりも心配するような声色で聞かれた。
「……」
「大丈夫?」
「……ヒロ君、今から、会える……?」
「もちろん。すぐ行くよ。家で待ってて」
「……うん」
電話を切ってまた一人に戻る。
けれどすぐに来てくれると言っていた。ほんの少しの我慢だ。
静かな空間よりマシだとラジオ代わりにテレビをつけて、彼が到着するのを待った。

しばらくしてインターホンが鳴り、ノソノソ起きて玄関を開けた。
そこには息を切らしたヒロ君が居て、手にはたくさんの荷物を持っている。
「ど、どうしたの、それ」
「蒼太が元気なかったからいっぱい買ってきた。甘い物好きだろ。だからキャラメルラテにプリンとケーキに、それからお腹空いてるかもって思ったからご飯類もいろいろ。」
「わ……ありがとう……」
玄関のドアを閉めて鍵をかける。
ヒロ君は部屋に上がると荷物を置いてすぐに手を洗い、僕の手首を掴んでソファーに移動した。
「顔色悪いよ。何かあった?」
「……」
「話したくなったら話してよ。とりあえず沢山食べて飲もう。今日はずっと一緒にいるから」
「……」
彼の優しさに視界が滲んでいく。
ヒロ君は驚いたように目を見張った。
「ひ、ヒロ君、ぅ……抱きしめて、ほしい……」
そうお願いすれば、ヒロ君は戸惑いながらも抱きしめてくれる。
優しく背中を撫でられ、気がつけば彼の肩を濡らしていた。
「ぼ、僕、昔、真樹に酷いこと、して……っ」
「うん」
「それを思い出すと、いつも、消えたく、なっちゃって……」
背中を撫でていた手が止まる。
肩をぐっと掴まれて体が離れ、目が合った。
「そんな悲しいこと言わないでよ」
「っ……」
「蒼太と堂山の間に何があったかは知らない。だからそのことに関しては何も言えないけど、少なくとも今の堂山と蒼太の関係を知ってるよ。俺からは二人は仲のいい友達に見える。」
「……真樹が、許してくれたから……」
「うん。あとは蒼太が蒼太自身を許してあげようよ。」
涙が頬を零れて、ヒロ君の指先がそれを拭う。
彼の言葉に躊躇いながら頷いて、もう一度腕の中に帰った。
「急だったのに、来てくれてありがとう。」
「来るに決まってるだろ。それより、お腹空いてない?」
「ん……実はお腹空いてきたところ」
彼から離れて、持ってきてくれた料理の前に座る。
『いただきます』をする頃には、沈んでいた気分も段々元に戻ってきていて。
食べ終えると二人でお風呂に入って、少し狭かったけれど同じベッドで抱きしめられながら眠った。

 

 

 

 

暑い。布団を蹴飛ばして大きく息を吐きながら目を開けた。
何度も味わったことのある感覚。発情期に入ったことはすぐに分かって、薬を飲もうと起き上がってから漸く思い出す。
そういえば、昨日はヒロ君が泊まったんだった。
けれどどうやら家にはいないみたいで、なんとか着いたキッチンで薬を飲み、そのまま座り込む。
「うぅ〜……」
薬が効くまで少し時間がかかる。
ベッドに戻るのが辛くて、冷たい床に寝転んだ。
ヒロ君、仕事に行ったのかな……。そういえば今何時だっけ。スマホ、寝室に置きっぱなしだ……。
熱は上がる一方で、勝手に勃起してる上に後孔はしとどに濡れている。
我慢できずにペニスに手をやって扱き、射精するけれど、熱は治まらない。
「ぁ、ぁ……」
痛くなりだして手を離す。
生理的な涙が溢れて、荒く呼吸をしていると玄関からドタドタと慌ただしい足音が聞こえ、すぐ近くで止まった。
「蒼太!」
「ん、ぅ……ヒロく……っ」
あられもない姿を晒しているのに、体が興奮しきっているのか羞恥心は感じない。
ヒロ君はすぐ側に倒れるように座った。
「く、薬、飲んだから、もうちょっとで落ち着くと、思うん、だけど……」
「うん。ごめんね、一緒にいれなくて。発情期が近いの知ってたから今のうちに色々買っとこうと思って出てたんだ」
「え……知ってたの……?」
「昨日微かにだけどフェロモン香ってたから」
汗で額に貼り付いた髪を退けてくれた彼を見ていると、薬が効きだしたのか熱が治まってきた。
「ヒロ君、あの……ごめんなさい。俺、お風呂入ってくるね……」
今更醜態を晒していることを恥ずかしく感じて、慌てて起き上がろうとしてあまり力が入らずにべシャっと床に倒れ込みそうになったところを支えられる。
「大丈夫?」
「……ビックリした」
「運ぶよ。あ、でもお湯沸かしてないでしょ。ちょっと我慢出来るなら準備してくるよ」
「ううん。シャワーで充分」
「そう?……まあ、早くすっきりしたいだろうしいいか……。」
そう言った彼にお風呂場に運ばれ、椅子に座る。
そこまで確認したヒロ君は「上がる時に呼んで。会社には俺から連絡しとくね」と言うので頷いてドアを閉めた。

 

 

 

 

お風呂場から出てタオルで体を拭いた。
着替えを持ってきてくれていた彼に感謝をしてそれを履く。
呼ばなくても一人で出られそうだ。
脱衣場から出てリビングに行くと、すぐに目が合った彼はムッとした表情をする。
「呼んでって言ったのに」
「一人でいけそうだったから」
「もぉ……」
ソファーに座ると、何飲みたい?とヒロ君が買ってきたらしい色んな種類のフルーツのジュースをテーブル並べた。
「りんご!」
「はい。あとは冷蔵庫に入れとくね」
「うん。ありがとう」
キッチンの方にヒロ君が歩いていく。
──あれ、そういえば僕、あそこで自慰しなかったっけ……?
「わああ!ヒロ君!!」
「っ!?何!?」
慌てて立ち上がりヒロ君に後ろから飛びつく。
アウアウ言いながら、彼の手を掴んでソファーに連れ戻した。
「か、片付けて、くるから、ここにいて……」
「片付け?」
「あの……僕、キッチンで……」
「……ああ!俺が片付けたよ?」
「っ!」
顔に熱が集まる。
口と目を開けて固まった僕を見て、ヒロ君は困っている。申し訳なさが募って慌てて声を出す。
「……ご、めんね、あんなの片付けさせて……」
「大丈夫だよ」
「でもあの……恥ずかしいから、今度からは自分でやるね……」
「うーん。……まあ、わかったよ。」
ヒロ君は俺の手を取ると、グイッと引っ張ってきた。その力に抵抗することなく、彼と体をくっつける。
「ヒロ君?」
「……あのさ、蒼太に恥ずかしい思いさせた代わりに、俺も恥ずかしいこと言うね。」
「え、いや……そんなことはしなくていいけど……」
そう言ったのにヒロ君は止まることなく、俺と目を合わせる。
「蒼太のフェロモン嗅いで、我慢はしたんだけど、俺も結構限界です。」
「え……」
「薬飲んで落ち着いた時に言うことではないってのはわかってるんだけど……」
「……シたいの?」
「ん」
髪から覗く耳が少し赤い。
あまりにも可愛くて、彼の背中に腕を回して強く抱きしめる。
「いいよ。シよう?僕もシたい」
そう言って頬にキスをすれば、ヒロ君は俺を抱っこしてベッドに連れて行く。
ボスンと体が布団に埋まり、上に覆い被さってくる彼は余裕の皮を剥がして切羽詰まったような表情をしている。
そして唇同士を合わせた。

 

 

 

 

唇に柔らかいものが触れる感覚がした。
体が甘い怠さに包まれている。
身動きが取りにくくて目を開けると、ヒロ君に抱きしめられていた。
まだ眠っている彼は、穏やかな表情をしている。
「……ヒロ君」
意味も無く名前を呼ぶ。
顔を近づけてキスをして、もう一眠りしようと目を閉じる。
「──え、蒼太さん。一回だけですか。もっとしてほしいんですけど」
「っ!起きてた!」
「起きてます。なんなら俺がキスしてすぐ蒼太が起きたから驚いたよ。まるでデデニーのプリンセス」
「……朝から、すごく喋るね。」
「あ……、ごめん……。」
ムグッと唇を隠して目を逸らした彼。
それにプッと笑うと、ヒロ君もつられたようにケラケラ笑う。
「あはは!……あ、蒼太」
「ん、何?」
「おはよお」
「ふふっ、おはよう」
よく晴れた気持ちのいい朝だった。

 

 

 

おわり