第9話 黒薔薇の香り 更新しました

 誰もいない店内に向かって、僕は小さくつぶやいた。 「ようこそ、“黒薔薇の庭”へ」

 僕は、かつて閉じ込められた“檻”の中で、初めて誰かを迎え入れた。

 この声もまた、空気の一部となって、

 ゆっくりと、僕の香りに変わっていく。

 

俺を潰したあの家に、キスで勝つ