
「春と秋」秋の作る曲、秋の話
春と秋、もし気に入って読んでくれてる方がいらっしゃるのであれば…本当に嬉しいなと思います、ありがとうございます。
「春と秋」は壱川春、今瀬秋、という二人の男の子、同級生同士のお話です。
春と秋が高校で出会い、そこから三年間の心のやり取りを積み重ねて付き合うまでが「春と秋」、そして付き合ってからのお話を「春と秋 Season2」として分けて更新しています。
もしどちらかを気に入ってくだされば、もう一つの方も読んでみてくださると嬉しいなーと思います。
_
秋は作中で春に向けての曲をたくさん作り、そうして時にはそれを春に披露したりしていますが、私の中ではその一曲一曲、具体的にこんな曲だろうな〜、と言うイメージしている曲があります。
そもそも秋のシンガーソングライターとしての活動スタイルはどういったものか、と言うことなのですが。
元々秋はゲームなどが好きな男の子で、だからその流れでパソコンなども難なく使用することができます。
父の影響で家にあったギターで遊ぶようになりすっかり音楽に目覚め、そうしてパソコンでDTMを使って、父に習ってゲーム感覚で曲を作り始めます。もちろんギターも楽しく弾いていたんだけど、そうして何曲も何曲も遊びでトラックを作成するようになる。
父親は昔バンドマンで、そのつてで「せっかく作ったならコンペを受けてみたらどうか」と軽い気持ちで秋に提案します。そうして秋もそれに非常に軽い気持ちで乗り、当時付き合っていた彼女のことを詞に乗せて、楽曲を歌として完成させ、コンペに応募しました。
当時から秋の曲は完成度が高く、しかし詞は幼く拙いものでした。なので、コンペを主催した音楽事務所は未完成だが可能性が見込める、と言うことで秋を契約生、いわば練習生として採ることにしました。
それから本を読め、とか、色々と秋は事務所やマネージャーから指示を受けて必死に言葉を勉強したりして、その間にも何曲も何曲も楽しみながらDTMで制作し、メキメキと実力を伸ばしていきます。
そうしてしばらくして、事務所から「ギター一本で弾き語りするような方が今瀬のキャラにあってる」と言われ、秋はそれに割と素直に従い、それまでDTMを作って何重にも巧妙に音を組み合わせて作るような楽曲を制作していたんですが、それをやめて、ギター一本で作曲してそのまま披露するようになりました。
これまでよりもよりシンプルな音作りになったこともあり、秋はこれまで以上に作詞に注力するようになりました。
姉の影響で秋は幼い頃ピアノを習っていたこともあり、ギターやキーボードを持ち込んでライブハウスでライブしたりして、その界隈では(中学生時代は大阪など関西のライブハウスでよくライブしていた)割と人気を得るようになります。
作中では春の容姿に文字を割きがちですが、秋も秋でなかなか綺麗な見てくれをしています。全体的にはさっぱりとした顔つき。鼻はしゅっと高く、瞳自体は春に負けず劣らず大きい。春はくっきり深い二重瞼なんですが、秋はきゅっと目を開けた時にくっきり二重になるような感じで、普段は目の上に軽く線が入っている、というな、それが何ともさっぱりした顔立ちを演出しています。
春は線も細く顔も美人という感じで極めて中性的な美しさを持っていますが、秋もそうありつつも、でも春よりは男性的かな、と思います。
二人は春が184、秋が182、と共に高身長で春の方が少し高いですが、肩幅や腰は秋の方がやや広い感じ。春はそういう大きな秋の背中がすきだな〜と思ってると思います。
話が逸れましたが、そうした秋の見た目と才能に惚れ込んだおばさま方が秋の熱心なファンになり、秋の中学時代から通っている、というような感じです。
なんか、最初に日本で韓流が流行り出した頃の韓国の俳優みたいな見た目に近いかもです。
だから昔からモテまくってたと思います。秋。
そんで秋に負けず劣らず、春も、秋の見た目が大好きだと思います。
そんなこんなで上京してからも事務所の言う通り基本的にはギターやピアノなどの楽器一つで作曲してライブして、息抜きとしてDTMで好き勝手音楽を作ってる、という感じ。
劇伴の仕事は基本的にそうしてパソコン一つでいろんな音を打ち込んで作成しています。
さて話を戻しますが。
二人が高校三年になって、春に「秋は女の子が好きでしょ、これ以上踏み込むのはやめよう」と言われた後、そんな春に向けて秋が作った曲。
私の中でのイメージは、恋だろ/wacci です。
小説を書きながらどんな曲かな〜…と考えて探して見つけた曲だったんですが、あまりにもピッタリ!と思って。
それでちょっと歌詞から話を膨らませて、小説に入れ込んだりもしました。
(Season1の方で、雨の中春が秋の自宅にやってきて秋が春の服を洗濯しようとしたときにこれ手洗いで…と言うあたりのシーンは、「恋だろ」の1番の歌詞、「なんとかって服に」という歌詞からイメージして出てきたシーンです。なんか難しいおしゃれな服を春が着ている、というのを秋なりに表現している、みたいなイメージ。)
すでにもうたまらなく好きなのに、同性であるからとその手を取れない、そんな臆病な春にとって、こんな曲をその相手が贈ってくれたとしたら、とんでもなく嬉しくてそりゃああいうふうになるか〜…と、何度も想像してこの曲を聴いています。
そういえばそれより前、高一の時も秋は春に曲を書いてそれを披露する、という描写がありますが、その曲はなんとなく、高嶺の花子さん/back numberとかかなぁと。" 海に誘う勇気も車もない "ってワードは、当時まだ15〜6の秋にはとても背伸びで不釣り合いな言葉で、だからこそまだ、春が好き!と純粋な気持ちを言葉遊びをしながらも曲に乗せる、なんかちょっとした気持ちの余裕がまだあるところがそれっぽいなと思います。
そうして春の20才の誕生日、春の涙の後、秋が春に送った曲「花束」。
もう完成していたであろう歌詞を、春の言葉を聞いて多分、秋は少し書き変えたりしたと思います。
秋がブレイクするきっかけになるその曲は、まさしく 花束/back numberみたいだと思います。(普通に作中でタイトルそのまま引用させていただいてすみません)
二人の会話のような詞から始まるこの曲は、春に優しく寄り添いたい、という秋の気持ちがいっぱいこもっているみたい。秋もそりゃ、春と付き合ってて不安が一ミリもないわけじゃない。自分は不釣り合いかな、とか思う日もあるわけです。それでもいつでも春が好き、というまっすぐで強い思いがある。「どう思う?これから2人でやっていけると思う?」という歌詞は、春の言葉を聞いて考えたかもしれないし、元々秋から生まれた言葉かもしれない。会話のような構成にしながらも、秋の中では1人ポツポツと不安になったりでもそんな自分を励ましたり、そんな心模様を描いてるのかもしれません。
こうして書いてて、なんか勝手に人様の曲を巻き込んでごめん、という気持ちになってきました。すみません。
でもこう、こうやって具体的な曲のイメージがあると、楽しいやらなんやらで…。
というか、この曲だってもしかしたら、そうして誰かに向けて書かれた曲なのかもしれません。そんな相手はたまらないでしょうね。
春もたまらなかったと思います。
秋が好きで好きで仕方なくて、だからこそ心底怖くて。これからそこは作中で描きたいのであまり言及はしませんが、とにかくそんな気持ちの中、その大好きな相手が「何回だって何十回だって君と抱き合って手を繋いでキスをして…思い出を作る」って未来を提示してくれたら。
元々壱川春、というキャラクターを想像していて、春を変えるのは一体どんな子だろう、と、今瀬秋が生まれました。
私はとにかく、春を心底幸せにしてくれる人を探していました。
秋なら幸せにしてくれるだろうな、と思ってます。
小説を書くのは初めてで、拙い文章にはなってしまうとは思いますが、これからもぜひ見守ってもらえたらなぁと思います。
お茶家
