コンテスト参加しました!

今更ながらコンテストに「色褪せぬスターチス」という作品で参加したことをお知らせします笑

今作は明るく適当で魔王に一途な勇者を、気難しくて素直じゃない魔王が鬱陶しく思いつつも最後にはほだされてしまい、結果的に結婚するお話です。婚姻関係の結び方が個人的にはとても綺麗だと思っているので、是非読んでいただきたいです。

 

時間があったらもう一作くらいは書きたいなぁ…ファンタジー、めちゃくちゃ好きなんですよね。次作が書けたとしたら、屋敷に幽閉されている貴族の子息と闇を抱えた執事の悲しくて綺麗なお話かな。闇を抱えたキャラが好きなので笑

それかこういうファンタジーもありか!っていう毛色の違ったものもありですよね。たとえばとある乙女ゲームの中に攻略キャラとしてトリップしちゃった乙女ゲーマーとか。ある日気付いたらイケメンだらけの魔法学園に通ってて、そこで知識を活かして攻略しまくるけど最終的に惚れるのは攻略対象外のモブ、みたいな。それも時間があったらの話ですけど。

 

まあそれは置いておいて。今作で1万字に収めるために色々と削ってしまった部分があるので、そこについて語らせてください。以下ネタバレ注意です。

 

まず勇者の設定についてです。これね、削らざるを得なくなってとても悲しいんですが、勇者は「森林の民」といわれる民族の末裔でした。彼らは昔は森林の中で自然と共に生きてきた民族でしたが、人界の人口が増え、食糧生産が追いつかなくなりました。

そこで聖王は、人界の東に広大に広がる森林の民の森を焼き尽くし、そこを畑として使ってしまいました。そしてそこで暮らしていた森林の民はほぼ死に絶え、残った少数の森林の民は奴隷として使われるようになりました。そして勇者は当時生まれたばかりの子供で、森が焼き尽くされたのち、戦闘奴隷として調教されてきたのです。

勇者は魔王と同等かそれ以上の実力を持っている、と描写したと思いますが、それはこの民族であること、それから戦闘奴隷だったことが理由です。森林の民は自然と共に生きてきた民族なので、他の民族よりも遥かに自然を操る魔法と身体能力に優れていました。

そういう生まれつきのアドバンテージを持ちながら、幼い頃から殺し合いをさせられてきたので、勇者は魔王と同等かそれ以上の実力を持ったのです。

 

次に世界観について。まだ聖王領を侵略していた頃の魔王は幼い少女に出会ったという描写をしたと思いますが、その後のことは削ってしまったので少しだけ語らせてください。

魔王は幼い少女に出会い、改心した後、聖王と話し合いの場を設けました。そして苦心しつつも不可侵協定を結び、聖王領を人界、魔王領を魔界と名付け、その境界に結界を張りました。互いに軍隊が送り込まないように。

しかし聖王側はずっと「勇者」を送り続けています。これは、聖王が結界に僅かな綻びを作ったからです。そこから魔王を倒すため、というよりは、少しずつ少しずつ魔王を弱らせるために、勇者を送り続けていました。そしていつか魔王の力が弱まった時に、結界を壊し、滅ぼすつもりでした。

つまり「勇者」とは名ばかりの、体のいい生贄でした。大抵の勇者は自分が選ばれたことに歓喜し、そして喜び勇んで旅立っていくのですが、この勇者は自分が生贄であることに勘付いて、その上で旅立っていったのです。

 

最後に花について。勇者は魔王に赤い薔薇を贈っていたと思いますが、赤い薔薇の花言葉は皆さんご存知かと思います。しかし本数で花言葉が変わることはご存知でしょうか。一本の薔薇は「あなたしかいない」「一目惚れ」です。まさに、という感じですよね。そして二本の薔薇は「この世界は二人だけ」、三本の薔薇は「愛しています」、四本の薔薇は「死ぬまで愛の気持ちは変わらない」……そして百八本の薔薇は「結婚してください」です。

勇者は魔王に一本の薔薇を毎日送っていました。それはこの「あなたしかいない」「一目惚れ」という花言葉になぞらえて贈っていたのです。しかし勇者は、本数によって花言葉が変わることをよく承知していませんでした。ですがそれを知っていた魔王は、勇者の贈った薔薇が百八本目に達するまで待っていました。そしてちょうど百八本目に達したその日に、スターチスの花を贈ったのです。

勇者を邪険に扱いつつも何度薔薇をもらったか律儀に覚えていた魔王、すごく可愛いですよね。なのでこれを書きたかったのですが、ここのくだりを削ったらちょうどよくなったので、やむなく削りました。

そしてスターチスについてですが、スターチスという花はご存知でしょうか。青紫色の可愛らしい花で、乾燥させても色や形が変わらないドライフラワーとしても人気の花です。この花の花言葉は「変わらぬ心」「永遠に変わらない」「変わらない誓い」などです。この花言葉に魔王は、勇者との関係が永遠に変わらずにいてほしい、という願いを込めました。

あえて花言葉は作中で語らなかったのですが、こういう花言葉でした。なので「色褪せぬスターチス」というタイトルには、婚姻によって永遠に枯れることのない花、という意味と、永遠に変わることのない恋心、という意味を込めていました。

 

ここまで読んでくださった方、もしいらっしゃいましたらありがとうございます。