アンコンシャス・バイアス
「その恋の向こう側」更新しました。
第420話 brand new day(6)
https://fujossy.jp/books/1557/stories/92541
R18回です。なんとなく予告しておいたつもりではあるのですが、リバりはじめました。
地雷の方はご注意ください。
昨日、田亀源五郎先生のトークイベントにうかがいました。その席で、リアルなゲイの方とお話しする機会がありまして、カミングアウトの話をうかがいました。
その方はもう立派な大人の方でいらっしゃいますが、今もまだ、親御さんにも兄弟にも言えていないそうです。
言いたい気持ちはあるし、言おうと思ったこともあるけれど、言えなかった場面について、具体的なお話も聞かせていただきました。切ないエピソードでした。「良い小説のネタになった」などと、軽々しく言えません。でも、いつか、私の中でそれをきちんと消化して、読者の方に何か伝えられる自信が出来た時には、何らかの形で反映させられたらいいなとは思っています。
このイベントは田亀先生の作品「弟の夫」のドラマ化がきっかけで行われたものです。
そのトークの中での、私が印象的だったエピソードとして、「ドラマ化するに当たって、(原作では物語には関係のないことだから明示していなかった)弥一の弟の死因について、『エイズにしないでくれ』と釘を刺した」というのがあります。以前、あるメディアのインタビューで「もしかしてエイズなんですか?」と聞かれたことに失望したから、というような意味のことをおっしゃっていました。
実は、私はこのことにとってもびっくりしたのです。
というのは、涼矢の「若くして亡くなった叔父」について、まったく同じようなことを考えていたからです。以前にこのブログにも書きましたが、その叔父さんは後付で作ったキャラクターです。和樹がお通夜に行くことになり、しかし葬儀のマナーなど分からない……ということを表現する際に、比較として「涼矢は一度だけ葬式に出たことがある」というのを書きたいと思った、ただそれだけの理由で「叔父の葬式に出た」と書いたに過ぎません。それなのに、この叔父さんには後々、それなりの役割を担ってもらうことになりました。ですから、その死因なんて本当に何も考えていなかった。若くして亡くなったけれど、海外で事故死というのもちょっとドラマチック過ぎるので、病死ということにはしましたが、その病名などはまったく念頭になく。
けれど、その後、ミヤちゃんがらみでHIVを扱うことになった時に、ふと、「叔父さんてエイズで死んだのかな」という思いがよぎりました。でも、直後に「いや、彼がゲイかどうかはグレーだし、そうだとしても、だからエイズで亡くなったって、そんな短絡的なものではないだろう」と思ったんですね。涼矢はかつて、ゲイのロックスターがエイズで亡くなった訃報の時、同時に目にする「ゲイだからそんな病気で死んだんだ」といった言葉に心を痛めました。叔父さんがエイズで死んだことにする、あるいは「もしかしてそうなのでは?」と思ってしまう、それこそがそういった偏見、先入観と同じだ、と自分で思いました。この先、叔父さんの死因が物語の中に出てくるのかは未定ですけれども、「彼の死因はエイズではない」ということだけは決めました。
そうした中で、田亀先生のこの話をうかがって、「あの時の自分の違和感を大事にして良かったんだ」と、とても安心したのです。と同時に、そういった無意識の偏見(アンコンシャス・バイアス)の根深さというものを自分の中に見出しました。
……なんてことは、私が自分の頭の整理のために書いたことです。
読者の皆様には、ただ楽しんでいただければ幸いです。
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「掌編」に「その恋」番外編を公開しました。
過去の涼矢の話です。和樹が綾乃とつきあいだしたことが校内に知れわたった頃の話です。
でも、よくよく考えたら、彼らがつきあいだしたのって高3の夏の終わりなので、その少し後の話となると、和樹も涼矢も部活は引退してますよね。でもま、自主練だからいっか(ご都合主義)
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☆「学園BL短編小説コンテスト~卒業~」にエントリー作品
「Blue Lotus」
https://fujossy.jp/books/4506
☆SS置き場 いろいろスピンオフもあるでよ。
「掌編」
https://fujossy.jp/books/4768
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