『アリスドラッグ~ヘンゼルとグレーテル編~』SSと雑記※R18
『アリスドラッグ』の『インセスト~ヘンゼルとグレーテルによる悲喜劇~』の掲載が完了しましたので、記念SSを書いてみました。エッチしてるだけのゆるいSSです。
SSの後に、ヘングレ編のあとがきというかそんな感じの雑記があります。
普通にエッチしてるのでちょっと改行
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『きずぐちに塩』
「今日は積極的だね」
跪き、ペニスを頬張るヘンゼルの頭を撫でながら、ヴィクトールは言う。ヘンゼルはうっとりと頬を染めながら頭を前後に揺らし、熱いそれをじっくりと味わっていた。はふ、はふ、と興奮気味で苦しそうな息遣いに、その猛りは堅さを増す。ほんのりと目じりからあふれている涙がまつ毛の先にくっついて、宝石のようで綺麗だ。
必死にしゃぶっている姿が、欲しがりな姿が、あんまりにも可愛くて、ヴィクトールはいじわるをしたくなった。ヘンゼルの頭を軽く掴むと、その口からペニスを引き抜いてしまう。
「あ……」
「もっと咥えていたかった?」
ヘンゼルの鼻先でペニスの先端をゆらす。ヘンゼルは潤んだ瞳で熱っぽいそれを見つめ、唇からちろりと舌を出す。熱くて肉感的なもので口の中がいっぱいになっていた感覚の喪失感で、じわりと唾液がでてくる。もう一度それを口の中に突っ込んでほしくて、ヘンゼルは乞うようにヴィクトールを見上げた。
ヴィクトールはそんなヘンゼルを見下ろしながら、嗜虐心に震えていた。太ももをもじもじとすり合わせながら見上げてくるヘンゼルの姿は、あまりにもいやらしい。ぺち、とペニスで頬を叩いてやると、「あぁっ……」と甘い声をあげて腰をびくっと跳ねさせる。
「おねだりしてみて」
「……もっと、しゃぶらせて……ください……」
「どうしてしゃぶりたいの? 教えて」
今度は逆の頬をペニスで叩く。「ぁんっ……」といやらしい声を出しながら表情を蕩けさせたヘンゼルは、こうして焦らされることにも興奮を覚えているらしい。
「ヴィクトールの……おいしい、から……だから、はやく……」
「ふうん? コレをおいしいなんて……ヘンゼルくんは、エッチだねえ。よし、いいよ。いっぱいしゃぶりなよ」
ヴィクトールが手を離すと、ヘンゼルは嬉しそうにペニスを口に含んだ。そして、じゅっぽじゅっぽと音を立てながら、激しくしゃぶりだす。
「可愛いね、ヘンゼルくん」
時折ぐんっと腰を突き上げて、ヴィクトールはヘンゼルを煽る。男根を口に含みながら悦ぶ彼の姿に、胸が満たされた。
***
ヘンゼルは、その歳ではめずらしいくらいに性というものに興味がない青年だった。興味がない、というよりも嫌悪していた。
大きな原因としては、弟が娼婦まがいのことをやっていたというのがある。ぶくぶくと太った男と毎晩のように性行為をしている弟のことを考えると、セックスという行為が穢らわしいものにしか思えなかった。
『あれ、キミ、グレーテルちゃんのお兄さん』
『……っ』
家の中で、運悪く弟を抱いていた男と対面したこともある。
その時は、弟を抱いている途中だった男が、ヘンゼルが家に帰宅したことに気付いて部屋から出てきたのだ。まさか部屋から男が出てくるとは思ってもいなかったヘンゼルは、突然現れた全裸の男をうっかり凝視してしまう。脂肪を醜く纏った体、もじゃもじゃと生えている黒い毛、そしてビンビンに勃起したペニス。
『キミも可愛いね。グレーテルちゃんとは雰囲気違うけど……すごく美人だ。どうだい、オジさんとエッチしない? お金、あげるからさ』
『……ち、かよるな』
いつもなら強い言葉でつっぱねるところだったが、あまりにもショックを受けて、ヘンゼルはふらふらになりながら男から逃げた。そして、何度も吐いた。
なぜ、人はセックスなんてするのか。あんな汚らしいことをどうして好んでするのだろう。その時のヘンゼルは、本気でセックスの意味がわからなかった。性というものに、強い嫌悪感を抱いていたのだ。
***
「あっ……、ぁ、……あっ、あぁっ……!」
ヘンゼルがヴィクトールの上で、腰を振る。騎乗位で頑張ろうと意気込んだものの、奥に当たりすぎて体を起こしていられなくなり、ヴィクトールの胸にへたりと頬を寄せて、ゆるゆると腰を振るだけではあるが。
「がんばって、ヘンゼルくん。全然動けていないよ。それとも、動けないくらい気持ちいい?」
「きもちいい……、きもちいい、ヴィク、トール……」
「あっは、可愛い。もっと気持ちよくなりたい? 僕が動いてあげようか?」
「うご、いて……ヴィクトール……、俺、もう……」
「はは、ほんと、可愛い」
ヘンゼルが蕩けた虚ろな瞳で懇願すると、ヴィクトールがズンッと腰を突き上げた。その瞬間、ヘンゼルの体がびくんっと弓反りになる。
ヴィクトールはヘンゼルの尻肉をがしりと掴むと、どちゅどちゅと容赦なくヘンゼルの最奥を突いた。ヘンゼルは悲鳴のような嬌声をあげながら、ぎゅうっとヴィクトールに抱きついて絶頂を繰り返す。
「あっ、ひっ、ぁうっ、あっ、あっ」
「ほら、きみの大好きな僕のペニスだよ」
「あっ、あっ、すきっ、ヴぃくと、-、る、の……すきぃっ……」
「あー、僕のペニスが好きすぎておもらしまでしちゃって……いやらしいなあ、ヘンゼルくん」
何度も何度も絶頂し、奥を突かれて、ヘンゼルは潮吹きしてしまった。ちょろ、ちょろろろ……とヴィクトールの腹の上に潮を漏らし、とろんとした顔で「すき……」と呟く。
ヴィクトールはそんなヘンゼルを見つめながら、目を細める。性を疎んでいた彼が、ここまで淫らに成長するなんて。ペニスをぐっぽりと尻に咥えながら抱き着いて、うっとりとした声を上げるなんて……以前の彼ならばありえなかっただろう。
「ヘンゼルくん、いいものだろう、セックスは。こんなにも気持ちよくて、愛しいんだから」
「うん、うん……」
「……意識飛びかけてるのかな? もうちょっとがんばって。ほら――」
「ぁあッーー……!」
ヴィクトールがどぷん、と勢いよく腰を突き出すと、ヘンゼルはびんっと体を硬直させてぱたりと力なくヴィクトールの上に倒れ込んだ。はあ、はあ、と甘ったるい吐息を零しながら、とろんとした目でヴィクトールを見つめる。
本当はまだ足りなかったが、ヘンゼルが限界に近いことを感じ、ヴィクトールは一旦呼吸を落ち着けた。ヘンゼルをねぎらうように背中を撫でてやり、そっと抱きしめる。
「好きな人とのセックスは……本当に、気持ちいいでしょ? ヘンゼルくん、僕とのセックス……好き?」
ヘンゼルはヴィクトールとのセックスに夢中になっている自分を顧みる。きっと、まだ性に対する恐怖を拭うことはできていない。他の人と同じことをしろと言われたら、泣いて拒絶するだろう。
けれど、今は……。
「ヴィクトール……」
ヘンゼルはずるずると体を起こし、濡れた瞳でヴィクトールを見下ろす。そして……言葉で返事をする代わりに、キスで返事をした。
*雑記*
『アリスドラッグ インセスト~ヘンゼルとグレーテルによる悲喜劇』お読みいただきましてありがとうございました(*‘ω‘ *)
短編集の中の一つが終わっただけなのにまるで物語が完結したときのような挨拶だなって感じですが、このヘングレ編、十万字越えしているので普通の文庫本並みの長さがあり、書ききったときの感覚は長編一本書き終わったって感じなのです(笑)
とは言っても、このヘングレ編書いたのは結構昔の話でして、こちらの雑記はあとがきというよりは振り返りコメントみたいな感じになりますが……
さてこのヘングレ編ですが、私にとって因縁のある作品でして……(笑)
紛れもなく、この作品が原因で私は「バッドエンド作家」の烙印を押されることになりました笑笑笑 この作品が完結してから、私の作品につくコメントは大抵が不穏な展開を期待するコメントになり……(笑)たぶんこの作品読んだ方の中には、私そのものが地雷になった人もいると思います笑笑笑
ちなみに私は、バッドエンドやメリバは好んで読みません。なので私が読者なら、うめこという作者の作品には絶対に手を出しません。「あ~あの作者、キャラが死ねばいいと思ってるっしょ~?」とか言いながらうめこ氏地雷ですとか言いだすと思います(笑)
裏話というわけでもないのですが、このヘングレ編の舞台はドイツで設定してあります。
ヘンゼルが言ったスラングや、通貨単位、その他諸々はドイツの文化をイメージして書かれています。
何故ドイツなのかというと、ヘングレの原作の作者であるグリム兄弟がドイツ人だったからです。なのでアリドラ全体の舞台をドイツで統一しようと……このときは思っていました(笑)
しかしこのこだわりはいつの間にかどこかにいきまして、次の人魚姫編はイギリスが舞台になっています。
……というわけで、次からは人魚姫編です!
よろしくお願いいたします(*^▽^*)
ちなみに本来、人魚姫編の前に入るはずだったシンデレラ編ですが、フジョッシーさんにはシンデレラ編の改稿版が掲載されているので、飛ばしました。
改稿版ということでかなり中身が変わっておりまして……元のシンデレラ編が好きという方には申し訳ないです!すみません~!