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第4話
〝店員募集中〟その貼り紙に気づいたのは、二度目のPRIMAVERAに訪れたときだった。
可愛らしい熊のイラストは彼が描いたものだろうか。
小首をかしげると、テラス席に珈琲を運んできた彼が口を開いた。
「それ、うちの息子が描いてくれたものなんです。」
上手でしょう、そう言った彼の表情は今までで一番優しい表情をしている。
といっても、数回程度しか顔を合わせていないのだが。
優は頷く。
それより彼が結婚していたという事実に驚いてしまう。
年齢不詳だが若いことは確かで、結婚をしていて更に息子までいるという事の両方に驚いた。
しかし、それよりも・・・
「あの、俺・・・ここで働きたいです。」
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