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第15話

「俺、そんなくだらない事が原因で一週間ずっと悩んでたのか・・・?」 はぁ、と深い溜め息を吐く崇に優はむっとする。 「・・・くだらない事じゃないよ!」 思わず大きな声が出たが優には気にならなかった。 「崇君だって好きな人いたことぐらいあるでしょ!!」 ムキになると崇はより冷ややかな表情をする。それすら気に食わない。第一今まで我慢してきたが崇は意地悪すぎる。 「ふんっ・・・ないな。いい年して失恋ぐらいで泣くなんて恥ずかしいな。」 心底馬鹿にしたような顔に優は思いの丈を全てぶつける。 「年齢関係ないしそもそも四歳しか変わらないからね!今迄言えなかったけど崇君ネチネチうるさいよ君には優しさってものはないの?春日さんが春日さんがって俺も頑張ってるの!!一生懸命やってるんだからちょっとぐらい褒めてくれてもいいじゃん!崇君の大好きな春日さんは褒めてくれるよ!?」 一度言ってしまえばもう歯止めなんて利かなくて不平不満が止まらない。 「俺は褒めて伸びる子だよ!いちいち嫌味言ってこなくても力不足だってわかってるし!!崇君何でもできるからって他ができるとは限らないよ?知ってるんだからね崇君珈琲にミルク入れないと飲めないの!俺は飲めるよ悔しい!?」 ポカンと鯉のように口を開ける崇に優はドヤ顔してから後悔する。 ーー絶対怒られる。 みるみるうちに眉間に皺を寄せる崇を見て怒鳴られることを覚悟して目を瞑ると、怒声ではなく笑い声が聞こえてきた。 「ふふふ、崇君が珍しく面食らってる!」 「ちょ、春日さん居たんですか!?」 お腹痛い、と涙を拭う春日に顔が赤くなる。 基本的に優は自分の感情をあまり出したがらない。空気が悪くなるのは嫌だし我慢できないわけではないので自分が妥協すれば丸く収まると思っているからだ。 それでも優にだって譲れないものぐらいある。光輝に対する思いもその一つでずっと秘めていた大切な思いをたかが失恋だと片づけられるのは嫌だった。 「お前・・・何で俺がミルクないと珈琲飲めないこと知ってんだよ。」 崇は崇で気にするところがおかしいんじゃないかと思う。 優は苦虫を噛み潰したような顔をすると、春日は悪びれる様子もなくごめんねと笑った。 「いやー、崇君が仲直りする為にわざといなくなったんだけど面白い事になってたから見てた。」 てへ、と舌を出す春日を今日ばかりは恨めしく思う。もしかしたら春日は優しそうに見えて相当なサディストなのではないだろうか。 崇も崇で自分に非がないとわかると思う存分毒を吐く。 「やっぱり崇君可愛くない。」 優にはそう言うだけで精一杯だった。

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