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第19話
「何でって、崇くんが心配だからだよ・・・!!」
汗は沢山かいているのに少し青白い顔をする崇の様子は10人に聞いたら10人全員具合が悪そうだと答えるだろう。
「大丈夫だ、今日は仕事じゃねぇだろ・・・!!」
心配だと言っているのに尚突っぱねようとする崇に苛立つ。
確かに優は頼りにならないかもしれないが同僚であり友人である崇の心配をする権利すらないのだろうか。
「大人しくしてて、子供なんだから。」
少し強めに言うと、崇がむっとしたのがわかった。
恐らく子供扱いが気に食わないのだろう。
「子供じゃねぇ・・・」
ーーやっぱり、だけど声色は元気ない。
「4つ下でしょ、辛い時ぐらい年上に甘えてればいいんだよ崇くんは。」
いつも誰にも頼らないんだから、こんな時ぐらい素直に頼ってもらいたい。
そもそも崇は1人で無理をしすぎる節がある。
そういう性分なのかもしれないが、たまには誰かに寄っかかってもいいと思う。
「毎年、なんでしょ・・」
そう言うと崇の体が強ばった。
毎年こんな酷い熱に魘されているなんてきっと何か原因があるに違いない。
しかし、そこに不用意に踏み込んではいけないという想いも少なからずある。
「・・・関係ねぇよ。」
そう呟かれた言葉は酷く弱々しく今にも壊れてしまいそうだった。
「関係ないかもしれないけど、話してもらいたい。」
覚悟はできている。
偶に見かける憂いを帯びた表情を浮かべる崇は日を追うごとにその憂いを深くした。
そんな崇を見ているのは辛い。
「・・・。」
「・・・お願い、崇くん。」
暫く黙り込んだ崇はゆっくりと口を開いた。
大した事じゃない、そう言いながら。
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