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再会 2
「お前……!」
その姿を目にした俺は、驚きと共に背筋がぞくっとするのを感じる。
俺があいつのことを調べることができるということは、当然あいつもその気になれば俺のことを調べられるということだ。
ひょっとしたらあの日隠れてバス停から家まで歩く俺の後を付けていたのかもしれないし、そうしたら苗字だって表札ですぐにわかっただろう。
さっきまで自分もこいつのことを調べて会うことを考えていたのに、向こうがこちらの家や名前を知っているという状況を目の当たりにすると、少し怖いと思ってしまう。
「……何しに来た」
それでも痴漢相手に弱みは見せたくなくて、ちょっと凄みを利かせながら問いかけてみると、相手は小さくなりながらも答えた。
「すみません。
僕、中村さんにこの前のこと謝りたくて」
「謝るって、お前、人にあんなことしておいて今さらどんなツラして……」
俺が文句を言いかけたその時、痴漢の後ろを車が通り過ぎた。
「ここじゃ、まずいか」
夕方の今は車や人の行き来が多いので、家の前でこんな言い合いをしていれば誰かに聞かれるかもしれないし、ご近所さんに見られたら不審に思われるだろう。
痴漢野郎を家の中に入れるのは正直嫌だが、ここで話を続けるわけにもいかないから仕方がない。
「ちょっとそこで待ってろ」
俺は痴漢野郎を置いて家の中に入り、きっちりと鍵をかけてから、玄関の下駄箱の工具箱や殺虫剤などを入れているあたりから布ガムテープを取り出す。
ついでに武器になりそうな丈夫な傘を手の届く場所に用意してから、外の様子に注意しながらドアを開けると、俺の言いつけ通りにさっきと同じ場所で待っていた男を中に招き入れた。
「本当は家に上げたくないけど、外で話すわけにもいかないからうちには入れてやる。
けど、お前のことは信用出来ないから、家に上げる前に手を拘束させてもらう」
「わかりました」
男は俺の言葉に逆らうこともなく、肩にかけていたカバンを玄関の床に置くと両手首を揃えて俺に差し出した。
男の手首を布ガムテープでぐるぐる巻きにして、俺はようやく緊張から解放される。
「よし、じゃあ上がれ」
「はい、おじゃまします」
俺は手が使えない男が靴を脱ぐのを助けてやってから、男のと自分のカバンを持って男を連れてリビングに入った。
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