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10ターン目

…………………。 罪の呵責が重くのし掛かる目覚め。 こんこんと涙が涌き出る。 俺が……みんなを殺した…………。 体がリセットされるように、心もリセットされれば良いのに……。 『……死んだ方がマシだと思うかもしれない………でも、忘れないで……俺はお前が好きだ。待っているから、戻って来てくれ』 ………そうだ。 団長が待ってる……帰らなきゃ……帰らなきゃ。 ふらふらと準備をして部屋を出た。 もう……誰の声も、耳に入ってこない。 全てがぼやけて……水の中をさ迷っているみたいだ。 みんな俺を避けて通った。 それでいい……俺は戻る……団長の元へ……団長が待ってる……早く戻らないと……邪魔する奴は……消せばいい……簡単なこと……消してしまえ……消えてしまえ……。 演習が始まり………森の奥へ進んだ。 森の最奥で、ドォォォン、ドォォォンと結界を壊そうとする音が響く……。 ピシピシと結界に穴を開けて入り込んできたもの……魔獣ゴルゾーラカウ……待っていると結界の穴から男が入ってきた。 「ご苦労様。もう行って良いよ?」 ゴルゾーラカウの頭を撫でる男に背後から近づく。 「君……誰?」 ネヴィルがゆっくりと振り返った。 「………初めまして…………」 魔力を集めた手のひらを男に向けてかざした。 「消えてください……」 暗い、暗い森の中。 鬼ごっこには、もう飽きた……。 演習から戻らない俺を探して同僚達が追いかけてくる。 殺しても良いかな? 殺しても良いよね。 俺の………邪魔をするから。 俺はただ、団長のところに戻りたいだけなのに。 次に出会ったら、影も残さず消してしまおう。 全力を出しきろう……。 ………………………あぁ。 この呪いはどこまでも質が悪い。 今回は抜けられると思ったのにな。 全力でいこうと思った矢先にこれだ………。 追跡者が木々をかき分け、その姿を現した。 「リム・アゼリア、お前が演習から戻らないと聞いて……どうした?何があった?」 「…………カイル団長」 俺ではこの人は殺せない。 また朝からやり直しか……。 団長の瞳を真っ直ぐに見つめた。 貴方となら呪いから抜け出せなくても……良い。 団長の瞳はいつまでも変わらず澄んだ翡翠が輝いている。 「リム?大丈夫か?顔……真っ青だぞ……」 団長の手のひらが俺の頬に触れ、体温が伝わって来る。 生きている温もり……。 涙が頬を伝い、団長の手を濡らす。 「俺………団長を殺してない?」 「?……俺を?殺したいのか?」 「…………ネヴィルを……殺しました」 団長は不思議そうな顔をして、俺の首元に顔を近づけた。 「……嫌な匂いがするな……お前に何があった?教えてくれるか?」 団長が手を上げると指先に青い鳥が現れ、羽ばたいていった。 「皆、森から引き上げさせた。話を聞かせてくれ」 団長は俺の手を引いて、倒木に腰を下ろすと俺を横に座らせた。 「…………………」 何を何から話そうか……。 逡巡していると、団長の手が俺の手を握った。 「ネヴィルの名前を知っているってことは……この嫌な匂いはネヴィルの呪いか?」 俺が頷くと、俺と向き合う様に体を移動させると、 「……見てもいいか?」 俺はもう一度、頷く。 「ありがとう…………解析」 団長が言葉を紡ぐと、握られた手から団長の魔力が流れ込んで、血が巡る様に体中を駆け回る。 「………………」 団長が閉じていた目をゆっくりと開けると、辛そうな顔で俺の顔を覗き込んで……手を引かれ、俺の体は団長の腕の中。 「俺のせいだな……俺のせいでこんな呪いを……」 「………団長のせいじゃないです」 頭を団長の腕に抱き込まれる。 「……お前は……強いな……折れずに呪いに立ち向かおうとして………」 「強くない……団長が好きだと言ってくれたから………団長が待ってるって言ってくれたから……団長が一番最初に抱いてくれたから……」 貴方にもう一度、会う為だけに前を向いている。 もう離れたくない……。 団長の指に指を絡めて手を繋ぐ。 「そうか……俺が……自分とはいえ……俺の知らないリムを知っている奴がいるなんて……おもしろくないもんだな」 団長は複雑な表情で笑い……見つめあい……唇を重ねた。 熱い舌が絡み合って熱を溶かしあい……。 団長に悪いもの全て吸い取っていかれる様に、心が凪いでいく……。 ……もっと、もっと乗り越える為の力が欲しい。 「団長……好きです……団長となら何度でも、同じ朝を迎えたい……」 団長の膝の上に跨がり……団長を見下ろす。 「抱いて……下さい……」 今は呪いから抜け出す事よりも、何よりも……団長が欲しい。 団長が生きていると感じたい。 「リム……」 滑らかに動く指が俺の衣服をゆっくりと脱がしていった。 素肌が冷気に晒され固くなった乳首が温かい唇に包まれ、舌先で解される様に転がされ、余計プクリと固さを持って主張を始める。 「あ……んん……だんちょ……はぁ……」 団長はローブを脱ぐと地面に敷いて俺の体を降ろした。 ローブから甘く痺れる様な匂いはせず、団長の匂いに包まれる。 「もうこんなにトロトロだな……」 愛撫と団長の匂いに反応して俺のモノの先からは透明な液体が溢れている。 「ご……ごめんなさい………」 はしたない体を見下ろされて、羞恥で顔が熱くなる。 「謝るな………嬉しいんだよ」 溢れた液体を団長の舌が舐め上げて……そのまま口に含まれた。 「や……団長………そんな事……しなくて…いい……はぁ…ん」 団長の熱に包まれ、舌を絡められ、丁寧に高められていく。 柔らかな舌の感触が甘く脳を痺れさせる。 「ん……んぁ………はあぁ……」 視線を降ろすと、団長の口の中を出入りする自身のモノが見える。 団長が俺のモノを口に含んでいるという視覚だけで、我慢の限界を迎えそう………。 「……あ…あ…あぁ………気持ち……良ぃ……あ……」 俺の言葉に反応するように、団長の動きが早まって、唇に力が籠る。 「待って……!団長!!出ちゃう……離して!!離しっ!!あぁっ!!」 ビクンッ!と体が震え、俺の精が団長の口に放たれた。 「は……ぁ………はぁ……」 どっと体が重くなる。 息を整えていると、俺の出したモノを団長は手に出して………お尻に塗り込んだ。 ぬるりとした感触と共に、団長の指が孔へと入り込んでくる。 「リム、痛くはないか?」 ゆっくりと動く団長の指。 「痛くは……ぁ…無いです……けど……あぁ……ぅあ……」 ゾクゾクと体がむず痒い。 「あ……あぁ………は…ぁ………」 固い体を解す様に団長の指が動く。 体は固いが、どうされると気持ちいいかを知ってしまっている頭が、体を操り自ら快感を拾いにゆく。 はっとして、団長の顔を見る。 はしたないと思われただろうか? 淫乱だと思われただろうか? 中からの刺激に軽く勃ち上がったモノを握り込まれ、中からも外からも刺激される。 「……もう、挿れて……ふ…ぁ…団長の……欲しいぃ……あっ!」 「なんて殺し文句だろうな……人の気も知らないで…………」 団長は困った様に息を吐くと、より一層手の動きを速めた。 「ひぁん!あっ!あっ!我慢……やっ!団長……あんっ!あっ!繋がりたいっ!!」 団長は俺の言葉を無視して、手を動かし続け、 「あ…あ、あぁ!………い……イクっ!あっ!あぁぁ!」 俺は団長の手の中にその精を吐き出した。 「??……待って……今、達ったばっかりで………あぁっ!」 俺が吐精したのに構わずに、団長は手の動きを止めない。 「団長っ!やめっ!あぁっ!あっ!苦しっ……い!!」 それでも団長は手を休めることなく、激しく攻め立てる。 ……あ…ぅ…………も……漏れそう……。 駄目だ、それは駄目だ。 苦しみが強い快感へと変わる。 必死に歯を食い縛り我慢するが、団長の攻めは的確に俺の快感を擽って……。 「だめっ!だめっ!!だめぇぇっっ!!!」 っ!! 目の前にチカチカと星が瞬き……… 「やああぁぁぁっっ!!!」 体の力が一気に抜けて、解放感に溢れた。 透明な液体が弧を描いて飛び散った。 ガクガクと足腰が震える。 「やっ!止まんないっ!!ああぁっ!!」 止めようとしても意思に関係無く流れ続ける。 団長に見られて……どうしようもなく………………逃げ出したい。 一通り出しきって息が落ち着いてきた。 「はぁ………はぁ……団長ぉ……申し訳ありません………俺……粗相を……」 この歳になってこんな人前で……好きな人の前で……情けない。 団長は咎めるでもなく、嬉しそうに微笑みながら俺の体を抱いている。 「粗相では無いんだけどな………そうか……お前はまだわからないのか………じゃあ、これで一つは俺に勝てたかな?」 「???………団長?」 何でもないと笑う団長の顔がボヤける。 …………あれ? なんだか目が霞むし、頭がぼんやりする。 「すみません………なんか、妙に眠い………」 「そうだね………そろそろ時間だ」 離れていく団長の腕を掴んで離れまいとしがみつく。 「団長………まだ……これから………なのに…………」 目を開けているのが辛い。 団長の腕を握った指に力が入らなくなって、滑り落ちる。 俺の体を支えた団長が、寂しそうに微笑んだ。 「俺の側へ帰ってやってくれ………待っているんだろ?……おやすみ……さよなら……リム・アゼリア」 額に優しいキスをされ、待ってくれと思うのに……目蓋は重く………遠くなっていく団長の声…………。 最後に…………会ったのが、貴方で良かった…………… 俺の意識は暗闇に落とされた。

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