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9話*

 太陽が沈み、満月が浮かぶ金曜日の夜。いつもならば『ナイトムーン』の飲酒店に行っていた晴斗にとってみれば、家の中で過ごす事は珍しいと思った。カーテンを閉める為に窓に近付いてみると、真っ暗な夜空が広がっていた。まるで、晴斗の心を表しているかの様な真っ黒な夜空。沈んだ気持ちを抱えながら晴斗は、カーテンを閉めると、ベッドの上に転がり落ちる様にして潜り込んだ。  何かをする気にもなれなくて、ぼんやりとしながらも早く寝てしまうと考えて、目を瞑った。けれども、寝ようとしていた身体は中々眠れず、むしろ、身体が疼いてくるのが分かる。段々と熱が篭って来て、晴斗は、色っぽい吐息を吐きだしてしまう。いつも愁に抱かれていた身体は、愁のことをひどく求め始めていた。晴斗は、悶々としながらも寝ようと思いさらにベッドの中に潜り込む。けれども、中々寝付けずにいて目が覚めてしまう。  結局、ベッドから起き出した晴斗は、冷たい水を飲んで身体を冷やそうと考え、台所に向かおうとした時だった。玄関からチャイムの鳴る音が聞こえてきた。こんな時間帯に、一体誰がやって来たのだろうかと思い当たる節がなかった。  晴斗は頭に疑問符を浮かべながら寝間着姿のまま、玄関まで辿りついた。鍵は既に掛けてあったので、鍵を開けてがちゃりと開ける。どちら様ですか、と訊ねる言葉は自然と消えてしまい、晴斗は驚愕に目を見開いて、相手の名前を言ってしまう。 「しゅ、愁さん……っ!」  目の前に立っていたのは、睦月愁だった。いつもと違い前髪はあげていないが、艶やかな黒髪に空色の切れ長の瞳に黒渕の眼鏡をかけている。端正な顔つきは息切れした表情をしていて、高級そうなスーツを着込んでいた服は、今では黒色のコートを見に包んでいた。晴斗は驚いて固まってしまい「どうして…?」とぽつりと呟きを落とす。そんな晴斗の姿を知らないのか、見ていないのか。愁は晴斗に対して詰め寄ると、突然、懐から札束を出すと晴斗に押し付けてきた。 「いくらだ、いくら払えばいいんだ?」  晴斗がその言葉に対して戸惑った表情を見せると、愁は忌々し気に舌打ちをしながら晴斗を玄関のドアに、逃げられない様にして身体を押し付けた。晴斗の背中にドアの冷たい感触がした。両腕を掴まれてしまい、玄関のドアに縫い付ける様に固定されてしまう。そうして、愁の真剣な空色の瞳から逃れられなくて、晴斗は蜂蜜色の瞳で愁の事を見上げた。そこにいたのは、常に落ち着いている様子の愁ではなくて、必死な様子の愁だった。 「俺は金じゃなくて、お前がほしい」 「えっ……」 「ずっとお前が欲しかった。あの日……、晴斗が男に絡まれていた夜に、お前に一目惚れした。お前を抱いている時に、このまま夜が明けないでほしいと、何度も願った」  愁の言葉に、信じられない思いで晴斗はじっと愁の顔を見つめていた。愁は顔を歪ませながらも、晴斗に対して想いの言葉を続ける。 「……お前は、俺がどんな思いを抱いてきたのか知らないだろ。晴斗から貰った金は、一度も手を付けていない。……全額、返済すれば、お前を俺にくれるのか」  晴斗の頭は段々と理解が追い付いてきて、じわじわと身体の熱が篭るのを感じる。愁が自分と同じ思いを抱いていた事が嬉しくて、身体が歓喜に震える。そうして、晴斗は愁の瞳を、見つめ返しながら言葉にした。 「お金じゃなくて……あなたが、ほしいです。愁さんを俺にくれたら、俺は愁さんのものになります」  晴斗の言葉に愁が目を見開いたのを見逃さずに、晴斗は今まで抱いてきた思いを言葉にして伝えた。 「好きです……っ、愁さんのこと、俺は好きです……っ」  一度、言葉に出してしまうと、愁に対して好きだという気持ちが強く膨れ上がっていく。晴斗は止めることが出来ずに「好きです」と愁に対して言い続けていた。そうして、愁は晴斗の言葉を受け入れる様にして、晴斗の柔らかい唇に深く口付けた。最初に愁に口付けをされた時よりも、とても甘美なものに晴斗は感じて目を瞑り受け入れた。  きらきらと煌めく星空の下、二人は愛を結ぶ。 *****  雪崩れ込むようにして晴斗の家に入った二人は、自然と足は寝室へと向かっていた。普段晴斗が使用しているベッドに、愁は晴斗を押し倒した。ベッドが軋む音が響き、愁は晴斗の身体の上に覆いかぶさった。お互いに求めあってしまい、止められそうにも無かった。晴斗は顔を紅く染めながらも、愁の空色の瞳を見つめて名前を呼んだ。 「愁さん……」 「俺はお前を今すぐに抱きたい」 「抱いてください……俺をあなたのものにしてください」  晴斗は愁に対して安心させるように、はにかむように笑むと、そっと愁の首に自分の腕を回す。晴斗の仕草に、愁は満足げに笑むと欲情の火を灯した瞳で、晴斗の蜂蜜色の瞳を見つめて愛を囁いた。 「好きだ、晴斗」  顔を近付けると、晴斗の柔らかい唇に深い口付けを落とした。ちゅ、ちゅっと唇を食むようにして落とされる口付けに、晴斗は目を潤ませて享受する。初めてされた口付けよりも、お互いに好き合っている者同士の口付けは、甘美なものに感じた。もっとキスを強請る様に晴斗が口を開いていくと、愁は見逃さずに晴斗の口内に分厚い舌をいれた。お互いに舌を絡ませ合い、吸い付いていく。どんなに美味しいカクテルよりも、とても甘く酔いしれそうになる。晴斗の口の端から飲み切れなかった唾液がシーツの上に零れ落ちる様子が、淫靡に見えてますます愁の興奮を高めていく。ちゅっ、ちゅっと淫らな口付けの音が寝室に響き渡り、晴斗の耳を犯していく。  愁が唇から離すと、晴斗は名残惜しそうに愁の唇を目で追いかけてしまう。愁は悪い笑みを浮かべながら、晴斗の頭を優しい手つきで撫でると、晴斗の寝間着を淫らに脱がしていく。そうして、晴斗の色白の首に顔を埋めた。最初、紅い舌で晴斗の首を舐めていたかと思うと、強く吸い付いた。吸い付かれる度に、晴斗は「あっ」とあられもない嬌声を零す。生まれて初めてされる行為に、晴斗の身体は悦びに震えていた。愁は晴斗の首筋に吸い付いて、淫らな紅い花を咲かせていく。晴斗の首に、満足するまで淫らな紅い花を残していく。そうして、晴斗の顔を覗き込みながら悪い笑みを浮かべる。 「お前は俺のものだという所有の証をここに残した」  細長い冷たい指先で、愁は晴斗の首筋をなぞる。その度に、晴斗の身体は気持ち良さで快楽を感じてしまい、びくんと感じてしまう。 「所有の証をたっぷり残してやるから、覚悟しておけ。晴斗」  色気を放つ悪い大人の笑みを浮かべる愁に、晴斗の色白の身体が羞恥心から薄紅色に色付いて上気してしまう。愁は宣言通りに、晴斗の首に淫らな紅い花を咲かせると、次は晴斗の鎖骨や胸元にたくさんの淫らな紅い花を咲かせていった。  そして、晴斗の胸を揉むように触れると、晴斗は「ひゃんっ!」と甘い声を出す。愁は紅い舌を見せつけるようにしながら、晴斗の乳首を口に含んだ。舐めしゃぶる様にして舐めたり、ちゅうっと吸い付いたり、舌で転がす様に甘く噛んだりして、晴斗の乳首を弄んでいく。もう片方の乳首は、ぐにぐにと指で押し潰す様にしたり、ぎゅっと抓ったりして快楽の刺激を与えていく。 「ぁ、ぁん!しゅ、しゅうさん……っ、きもち、いいで、す……っ!」  晴斗の喘ぎ声を聞いた愁は、晴斗の乳首をさらに責め立てていく。愁に乳首を弄られるだけで、晴斗の自身は固く勃起していく。乳首を強く吸い付かれた瞬間、晴斗は我慢できずに、あられもない嬌声を上げて果ててしまう。乳首をいじめられて達してしまうなんて、まるで女みたいだと、晴斗は荒い呼吸をしながら思った。愁の手によって、自分の身体は女みたいにされたのだと思うと、感慨深くて晴斗は嬉しくなってしまう。晴斗は、おずおずと自ら下着を脱いでいく。白濁がまき散らした晴斗の自身が見えて、さらに愁に対していやらしく引くついた後孔が見える様にして足をゆっくりと開いていく。そんな晴斗に愁は満足げに笑みを浮かべながら、耳元で「良い子だ」と囁いた。晴斗の色白の太ももに、淫らな紅い花をたくさん咲かせていく。そうして懐から持って来ていたローションを手に取ると、口で蓋を開ける。愁は掌にローションを垂らすと、ぐちゅぐちゅと温めていく。指にローションをまぶすと、引くついている晴斗の後孔に一気に突き入れた。晴斗の後孔は、愁の指を歓迎するようにきゅうきゅうと吸い付いて、柔らかく蠢いていた。 「……本当なら」  晴斗の後孔を弄っている時に、愁がぽつりと言葉を零したので晴斗はそっと見やる。愁の顔は何処か不満げな表情を浮かべていたので、どうしたのだろうと晴斗は疑問に思い耳を傾けた。 「俺の手で、お前の身体を一から開発してやりたかった」  その言葉に、晴斗はぽかんとした表情を浮かべていたが、やがて、意味が分かると顔を羞恥心で真っ赤に染めてしまう。愁が晴斗に対して、そこまで想いを抱いていたとは思っていなかったと晴斗は内心で呟いた。愁は指を増やしながらも、晴斗の前立腺を擦り上げる様にして弱点を突いていく。その度に、先ほど果ててしまった晴斗の自身がまた勃起していく。  ゆるゆると円を描くように晴斗の後孔を弄り終わると、愁は指を引き抜いた。性急な動作で、服を寛げると愁の自身を取り出した。晴斗のあられもない痴態を見て、大きく育った愁の自身を晴斗はまじまじと見つめてしまい、歓喜に震えていた。そうして、晴斗のとろとろに蕩けた後孔に擦り付ける様にして、愁の自身をずぷずぷと一気に埋めていく。 「ぁ、ああああああ!!!」 「……っ、お前の中は、相変わらず気持ち良い」  愁は額に滲んだ汗を拭い取りながら、晴斗の潤んだ蜂蜜色の瞳を見つめる。晴斗はその仕草にどきりと心臓が跳ねながらも、愁の首に手を回して抱き着いた。そんな晴斗の愛おしい仕草を見つめながら、愁は律動を開始していく。ぐちゅ、ぐちゅと淫らな水音が寝室に響き渡る。晴斗も律動に合わせる様にして、淫らに腰を振って快楽に酔っていた。あられもない嬌声を発しながら、晴斗は愁に対してキスを強請ると、愁は深い口付けをしてくれた。そうして、お互いの手を絡めとる様にして繋ぎとめる。決して、離したりはしないという想いを込めながら、愁と晴斗はお互いの手を絡めた。ぱんぱんと肌と肌がぶつかり合う音が、晴斗の耳を犯していく。晴斗の後孔に挿入された愁の自身が、段々と大きく膨らんでいくのを感じて限界が近いのだろうと感じる。 「晴斗……っ、一緒にイこうな……」 「一緒が、いいで、す……っ!」  愁が晴斗の唇を塞ぐようにして、深い口付けをする。上の口も、下の口も塞がれて満たされて、晴斗は快楽に酔いしれそうになる。愁の自身が晴斗の最奥を突いた瞬間、晴斗の自身が弾けて白濁をまき散らした。 「んんっ!!!!!」  晴斗の体内が蠢くように動くと、きゅうきゅうと愁の自身を搾り取る様に締め付けていく。締め付けられた愁の自身は、晴斗の体内に精液を吐き出していく。キスされながら、中に出された精液が熱いと感じながらも、晴斗はどこか満たされた気持ちでいっぱいになっていた。お互いに手を繋いだまま、愁は晴斗から顔を離すと欲情を灯した瞳で見つめる。 「……まだ、していいか」  愁の言葉に晴斗は羞恥心から真っ赤に染めさせるが、やがて、こくりと肯定するように頷いた。愁は満足げに笑むと、晴斗に深い口付けをする。そうして、晴斗の後孔にずぷずぷと愁の自身を挿入していく。  彼らの夜は、永遠に明けることはない。

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