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迷子
ほわほわ……暖かい。
真っ白な世界……。
僕は……どうしたんだっけ……?
遠くで誰かが話してる………誰?
『魔方陣の上で延命措置は続けておりますが、目を覚まされる可能性は0に等しいかと……』
『ふざけるなっ!!暖かいじゃないか!生きてるじゃないか!!マシロは絶対帰ってくる!!』
あ……ティオフィルさんだ。
何を怒ってるのかな?
『マシロさんの体は今まで生きていた事が不思議なくらいなんです!これ以上の回復は無理です!!』
『アノ女……殺シテヤル……マシロト同ジ目ニ合ワセテヤル……』
待って……行かないで……ティオフィルさんの優しい手を血で汚さないで……。
『マシロ……?マシロ……聞こえているのか……?わかった……誰も殺さないから帰ってきてくれ……』
震える様なティオフィルさんの声。
起きないと……起きて頭を撫でてあげなきゃ。
ティオフィルさん、大人なのに甘えん坊だから……。
……あれ?
目が開かない。
ティオフィルさん……。
……僕は……ここにいるよ。
僕が迷子にならないように手を握ってよ……ティオフィルさん。
伸ばした手は空をさ迷った。
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