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第15話 僕の…。
翌朝の雫は、どんよりとした空気を背負い大学に出かけて行った。
「どうした?昨日あんなに幸せそうだったのに何かあったのか?」
「雫くん?」
その状態の雫をめざとく見つけた2人は訝しげに眉を寄せた。
「新一、香ちゃん~。僕…」
「あー、待った。後でゆっくり聞かせてもらう。なっ、香」
「うん。そうしましょ。とりあえず授業ね」
教授が来て授業が始まっても雫は上の空で教授の言葉を聞いていた。
いつものカフェテリアに3人で落ち着いてからも、雫はテーブルに眼鏡も構わずうつ伏せになって落ち込んでいた。
「で、昨日あんなに幸せそうに帰って行ったくせに今度は何があった?」
「ほんとよ、雫くんどうしたの?」
「……った」
「何って?」
「僕、スケベになっちゃった。」
泣きそうな顔で雫は顔をあげて思い切って2人に言葉を告げた雫に詳しく内容をく聞いた新一はなんて事に悩んでいるのかと頭が痛くなる思いだった。普通の男なら当然の事にうろたえている雫に、呆れていいやら、悲しんでいいやら新一の内心は複雑だった。
「それ普通だから……」
新一は高校生の時には考えもしなかった男とはという話を雫に話して聞かせた。
和樹に会う予定も無く、アルバイトを終えて帰宅した雫は夕飯を済ませ母親にはレポートがあるからと早々に自室にこもった。新一から変な気分になるのは普通だと教えられ、雫は男同士はどうするのか調べたくなったのだ。
パソコンの画面の映像は雫には衝撃的だった。2人の男性が男女のように絡み合っていた。
雫は赤面し、慌てて画面を消していた。
(でも、ぼくも和樹さんにもっと近づきたい。こんな風に抱き合ってみたい。こんなこと考える僕の事、和樹さんは軽蔑するかな?)
その思いが雫の本心だった。いつものラ〇ンが入ったとき雫は思い切って和樹にぶつかることに決めた。和樹は親の仕事を継いだ兄の仕事を手伝って居ると聞いていた雫は極力連絡は自分から入れず待つようにしていた。その夜もひたすら和樹からの連絡を待つ雫だった。
ーこんばんは、雫どうしてる?
ー和樹さん僕
ーどうした?
雫は一呼吸を置くと、思い切って言葉を伝えた。それは本当に雫にとっては一世一代の告白だった。
ー僕の身体興味ありませんか?
返信は電話で帰ってきた。慌てて通話をオンにして携帯を耳に当てた。
『雫、どうした?』
「和樹さんいきなりごめんなさい」
正座をして電話を受けた雫は恥ずかしさで声も震えた。
『正直に話して良いか?』
「はい。お願いします。」
『俺はお前が欲しいよ』
「和樹さん…」
『でも、無理はさせたくないんだ』
優しい和樹の言葉に雫は決心がついた。「和樹さん、僕も和樹さんが欲しいです」その言葉は自然に唇から生まれた言葉だった。
『雫、今度の休みの前の日、泊まりに来ないか?』
「っはい、行きます」
『必ず迎えに行くから』
雫の顔に笑顔が浮かぶ。電話越しでもその表情が見えるような声音だった。
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