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第19話 カップと余裕のない2人
食事が終わりソファに落ち着くと早速色違いのマグカップに和樹が雫の好みのミルクたっぷりのコーヒーを入れてくれた。和樹にはしっかり好みを把握されていた。
「ありがとうございます」
和樹の手からマグカップを受け取るとニコリと微笑んだ。これがこれから自分のカップだと思うと嬉しくなった。口に含めば苦みとミルクの加減が絶妙だった。そんな雫の隣に腰を下ろした和樹は自分用に入れてきたコーヒーに手をつけようとしなかった。
「新一くんたちと別れたとき、あんまりにも可愛い過ぎて凄くキスしたかった」
「和樹さん……」
和樹の言葉に雫の身体は震えた。そこには熱っぽい和樹の視線があって、雫はその視線に焼かれそうになる。視線はそのままにマグカップを握る手に力が入る。
「雫、その目はやめてくれないか……キスをしたくて堪らなくなる」
「え、あの、ごめんなさい」
「いや、おれこそごめん。キスしてもいいか?」
「はい、和樹さん」
和樹は雫の手からマグカップを取り上げ優しく覆い被さってきた。始まりは啄むようなキスから少しずつ深くなっていく。キスがほどける頃には雫の身体から力が抜けていた。
雫は和樹に抱きしめられて熱い吐息をこぼした。
「雫お風呂に入れる?」
「ごめんなさい。今は無理です」
「ごめん、俺も。このまま寝室に行ってもいいか?」
「……はい、連れって行って欲しいです」
寝室に運ばれてお互いに裸になるとベッドに横たわった。お互いに熱い視線が絡まる。
「雫、好きだよ」
「僕もです」
その言葉を皮切りに和樹は雫の身体にキスを落としていった。
「ん、和樹さん……ん、嬉しい」
「雫……、」
雫の胸に和樹が唇を寄せて粒を口に含むと大きな声が漏れてしまう。
「あああ!」
雫は胸を反らして喘ぐ。それはまるでもっと欲しているように和樹に押しつけているようだった。淫らに喘ぐ自分を和樹が嫌いにならないかと心配になるときが雫にはあった。それでもその思いも和樹の言葉が心を溶かしてくれる。
「雫もっと声を聞かせて」
「あ……あ、うんっ、あああ、ん、ん、んぅん、あ、あ、あ……そこ、だめ」
「もっと」
「うん、だめ、いきたい。いく、和樹さんっ、あああ」
胸への愛撫と半身への愛撫で雫はいってしまった。雫の胸には沢山の華が咲いていた。両方の粒は綺麗に色づき雫の身体は和樹を誘惑していた。
「綺麗だ、雫……」
手を伸ばして粒を和樹は摘まんだ。その刺激に雫はビクリと反応した。
「あぁ!だめ~さわらないで」
雫は身じろぎ和樹を押しのけようとした。顔を上げた和樹は涙を浮かべている雫の目元にキスを何度も落として雫を落ち着かせようとした。
「すまない、雫泣かないで」
両手で髪を梳かれた雫は濡れた瞳を和樹に向けた。そこには困り顔の和樹がいた。
「もうしないですか?」
「ああ、今日はもうしない。続けてもいいか?」
「……はい」
和樹はキスから時間をかけて仕切り直し、雫は身体を震わせてそのずべてを受け入れた。
前からも後ろからも愛された雫は全てが終わる頃には意識を飛ばしていた。次に雫の意識が戻った時には全ての事が綺麗に片付けられていた。身も清められ、雫の身体の全てには所有の証の華が乱れ咲いていた。全身が気怠くなった雫はそれでも幸せに満ちていた。
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