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第15話 ※
「は、あっあっ、あっあっあっ……気持ちぃ、気持ちぃいよぉ……っ!」
触手にまみれ、促されながら、俺たちは何度も繋がり、混ざりあった。
彼は、「いや」という言葉の代わりに「いい」や「気持ちいい」という言葉を使うようになってきた。
俺も、気持ち良いことをちゃんと伝える。
そのたび、恥ずかしげにこちらを見る、彼のかわいい表情に惹かれる。
思わずキスをする。
触れる程度のキスをして、だけどそれだけでは我慢できなくて、噛みつくように、深いキスに切り替えた。
「あ、あふ、……ふぁ……」
深く舌を絡ませながら、それに答えてくれる彼。
嬉しくて、もっと繋がりたくて。
けれども、お互い腕や足は、触手に捕らわれたままだから、腰を振って距離を詰めようとする。
下は繋がったままだから、当然、中を掻き乱すことになる。
「ふっ…んぷ…、あっあんっあっあっ」
すると、感じた彼が、顔をはずしてしまう。
いやだ。もう一度。
「もう一度、キスしよ」
「ん……」
情欲でいっぱいになった瞳をこちらに向けて、応じてくれる彼が愛おしくてたまらない。
また、深く深く、咥内を貪り合う。
まるで、好きあっているような気分だ。
実際には、触手に絡み捕られて、蹂躙されているだけなのに。
深く口づけ、体を求め合う。
このまま、死ぬまで繋がりあったままなんだろうか。
……ああ、それもいいなぁ。
触手に毒されたように、ぽわぽわとした頭で考えた。
だから、ふいに聞こえた、意味のある音声に、反応するのが遅れた。
「……名前…は?」
「ん?」
目の下を艶っぽく赤らめた彼が言っているのだと、すぐに判断できなかった。
「きみの、名前……聞いてない。何て呼べばいい?」
「あ……」
内容の理解も、だからさらに遅れた。
お互いの名前も知らない。
こんなに深く繋がっているのに。
「「凶王と兵士、じゃ、やだ」」
言葉が、重なった。
ふっ、と笑い合う。
「俺は、ウォガリス・エイリ。親しい友人には『ガイリ』って呼ばれる」
「ガイリ……私は、……ラルド、と、呼ばれたい……」
うっとりとした瞳で、名前を呼んでくる彼、いや、ラルド。
「ラルド……好きだ。愛してる」
反射的に告白してしまった。
いや、こんな可愛いの拒否れません。
「ガイリ……私も、好きになっていい?」
さらに可愛くなるとか、おかしいな、この人形。
いや、すでに状況がおかしいんだけど。
「もちろん」
「嬉しい……」
ああ、ダメだ。天使だ。
必死に体を寄せようとしてくる彼を、抱き寄せられない状況がもどかしい。
なんとか近づきたくて、体を寄せようとすると、腰を振って勢いをつけることになる。
「あっ、あんっ、あっあっ」
俺の目を見たまま、受け入れてくれるラルド。
なんだか嬉しそうだ。たまらない。
「好きだ、ラルド……」
腰を打ち付けながら、思わず洩らすと、
「あっああんっ! ひゃあああんッッ!!」
彼は自らの屹立の先端から、大量の白濁を吐き出した。
俺の目を見ながら、イってくれたのか。
ますます、抱き締めたくて、もどかしい思いに身震いした。
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