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第4話
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次の日もトオルは花壇の世話をしていた。
今回は自分から。
理由はひとつ!ここなら彼を待っていても不自然ではないから。
チラチラと玄関をみる。
そして、千尋の姿が見えた。
その瞬間から、心拍数が尋常じゃないくらい上がっていく。
心なしか身体も震えているようにも感じる。
足音が少しづつ、近付いて来る。
な、なんか話し掛けなきゃ……昨日はありがとう。とか、うん、昨日はありがとう。が1番しっくりくるよな?
頑張って話そう!!
そう思ったのに、千尋は真横を素通りしてしまった!
あっ、やば!!声をかけようとするが、何って呼び止めて良いか分からなくなってしまった。
土壇場にきて………これだよ。トオルはまた、へこむ事になる。
◆◆◆◆◆
俺って、ほんと、ダメダメじゃん。
次の日の昼休み、トオルは花壇にいた。
先生にお前、花が好きみたいだから任せた!!なんて肩を叩かれたのだ。
あ〜〜、もう最悪!!
図書室の仕事もあるのに余計な仕事を押し付けられてしまった。
でも、それは断われない自分が悪い。
ため息を付きながら雑草を抜いていると「その花、なんて言うの?」真後ろから声がした。
「これ?これはリナリア………」
って言う名前だよ。と振り向いて質問をしてきた相手に言うはずだったが、言葉を思わず飲み込んだ。
自分に声をかけてきたのが、千尋だったからだ。
えっ?ええっ?な、なんで?なんでえええ?
一気に心拍数が上がった。
「そんな名前なんだ」
千尋はトオルの真横にきて、その場にしゃがみ、じぃーっと、花を見ている。
「あ、花言葉とかもあるんだよ」
と言って、あ〜、俺だせえ!女子かよ?女子?
花言葉とか女子かってーの!!
テンパり過ぎて何を言ってしまったんだろうと慌てる。
千尋に変な奴だと、確実に思われたよ!
世界が終了した瞬間だった。
でも、「花言葉?そんなのあるの?」と千尋は反応してくれた。奇跡が起こった瞬間!!
「うん、えっと、私の恋を知ってください」
「片思い中なの?」
「えっ?」
返された言葉にドキとしたトオル。
「えっ?あっ?誰、誰に?」
「誰って………花が……花が片思い中なの?って聞いた」
「あっ、ああ、花ね。花……えへへへ」
もはや、普通の会話はもう無理だと確信した。
「メガネ、直ったんですね。じゃあ!」
千尋はそう言って立ち上がると、校門へ向かって歩き出した。
あれ?なんで校門?
良くみると鞄を持っている。
早退?えっ?体調悪いのかなあ?
色々と突っ込みたいのに、トオルはその場から動けなかった。
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