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第7話

◆◆◆ それからトオルは1年の校舎を気にするようになってしまった。 彼は目立つからやっかみというか嫉妬みたいなのがあってイジメの標的とかになるんじゃないかって心配。 「神林先輩何してるんですか?」 その声にドキッとした。声をかけてきたのは同じ図書委員の後輩。つまり1年生。 「あ、いや、あの」 何って説明しようか?と悩む。 「あ、もしかして西島くんに用事?呼んできましょうか?」と千尋の名前が出てドキッとする。 「えっ?なんで?」 恐る恐る聞き返す。 「だって仲良しでしょ?いつも一緒にいるの見ますもん」 あ、そういう事?とトオルは何故かホッとする。 「西島くん、クラスでは誰とも話そうとしないから神林先輩、女子に羨ましがられてますよ?」 「えっ?」 「ほら、西島くんってアイドルみたいな顔をしているでしょ?ジャニーズのなんとか君に似てるとか女子があまりにも騒ぐから西島くん教室では無口になっちゃったんだ、俺らには少し話してくれるけど、女子ってさ迷惑考えないでしょ?今では西島くんに男子は同情しちゃってる」 「そ、そうなの?千尋、いつも1人だからイジメとかに……って心配して」 「ああ、だから偵察にきたんですか?神林先輩優しいですね。イジメはないですよ、西島くん頭もいいし、スポーツ万能だし、どちらかといえば憧れる存在っぽいですもん」 優しい……その言葉に照れるトオル。 憧れる存在。そうか、確かにそうだろう。千尋は上級生の中でも名前は知られていた。目立つから。 「で、西島くん呼んできます?」 「あ、いい、大丈夫」 トオルはイジメはないと確認できて、立ち去ろうとした。 「トオル」 千尋の声がして振り返ると彼が居た。 「千尋」 「どうしたの?1年の校舎だよ?」 近寄ってきてニコッと微笑む。 「え、嘘、西島くんって笑うんだ」 一緒に居た後輩の彼が驚く。 「えっ?普通に笑うけど?」 「だって、見た事ないから」 「そう?」 「それに先輩、呼び捨てなんだ……」 「本人が良いって言うから」 「う、うん、いいんだ。だって友達だし」 トオルは2人の間に入る。 「千尋、花壇手伝って」 千尋の手を掴み、歩き出す。 何故だろう?勝手に行動してしまった。 別に喧嘩になりそうだったわけじゃない。ただ、千尋との間に誰も入れたくなかった。 親しくできる存在が自分だけって余韻に浸りたかっただけかも知れない。 後輩が笑ったのを初めて見たって言っていたから。 トオルの前では千尋は良く笑うのだ。 「呼びにきたの?」 千尋に話しかけられ「うん」と答える。 すると、千尋は嬉しそうに笑った。 クラスでは笑わないのに自分の前だけで笑う。凄く嬉しい。

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