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異変 #1 side Y

次の日、俺は朝一の新幹線に飛び乗り、バスを乗り継いで、冬真の家の前に着いた。チャイムを何回か鳴らしたが、中からは何の反応もなかった。ここ数日の顔色の優れない冬真の表情を思い出す。 嫌な予感がした... 前回、互いに交換した合鍵で家の中に入る。 「冬真?」 声に出して呼んではみるが、やはり何の返事はない。 もう嫌な予感しかしない... 靴を脱いで、玄関から右に90度向いた位置にある廊下の左右を見渡した。廊下は特に変化はなかった。その後、左側にあるリビングに向かった。リビングには、冬真の姿はなかった。その変わり、キッチンのシンクの中に、ガラスの破片が無造作に放置してあった。この破片を片付けていないことに対し、俺は違和感を感じた。ガラスの破片を簡単に整理し、寝室へと向かった。寝室の扉を開けると、そこには異様な光景が広がっていた。ダブルベッドとサイドテーブル、フットライトしかない、ただ広いだけの床一面には、衣類が散りばめられていた。よく見れば、それは全て俺の衣類だった。衣類に紛れて、食べかけの食物や食べ終えた物のパッケージが、衣類同様に散乱していた。 おかしい... 冬真.....お前なら...そんなことありえないよな...? そう思った。 寝室でも冬真は見つからなかった...最後に前回、『落ち着くんだよね...』と教えてくれた、ベッドと窓にある、空間を覗いてみると、冬真はそこで倒れていた。 「冬真!冬真!」 何度も叫ぶが、全く反応がない。冬真の手を握ると、かなり冷たく、倒れてから現在まで、かなりの時間を要したのだと痛感した。俺は悔しくて...悔しくて...自分の無能さを許せなかった。何とか震えを抑えつつ、絹枝さんに連絡した...

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