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異変 #2 side S

絹枝さんと天城医師は別々の車で駆け付け、天城医師は冬真を車に乗せると、診察のため、すぐに診療所へ帰って行った。俺も直ぐに診療所に向かいたかったが、絹枝さんは、 「検査をして結果が出るまで、ロビーで待つだけよ。同じ待つなら、入院の可能性を考えて、私達は入院の準備と部屋の片付けをしておきましょう。寝室...大変なことになっているのでしょう?」 と言った。 寝室を一瞥して、絹枝さんはため息をついた。そして、二人で部屋の片付けを始めた。そろそろ入院の準備に取り掛かろうとした時、俺は絹枝さんに尋ねた。 「こういうこと...よくあるんですか?」 「以前も話したけど...倒れることは頻繁にあったんだけど...こんな風に部屋が散乱していたのは初めてよ...」 「そうですか...」 「ええ。散らかっていたのはここだけ?」 「あぁ...散らかっているってほどじゃないですけど、リビングの方には、割れたガラスの破片が散乱していました。シンクの中だけだったんですけど...危ないから、もう処分してしまいました。」 「ガラス...?」 「はい。恐らくあの形状的だと、花瓶じゃないのかな...」 「そう...それなら...入院にはならないわね...」 「どうして?」 「倒れたのは貧血だと思うわ。起因は...その割れたガラス...」 「何故...そう言い切れるんですか?」 「葉祐君...冬真にとって...ガラスの割れる音や割れたガラスの破片は...恐怖...そのものなのよ...」 「恐怖...?」 その時、絹枝さんの携帯から着信音が流れた。それは天城医師からで、天城医師は、診療所に二人で来るように告げた。

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