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異変 #4 side Dr.A (Amagi)

漆黒の真っ直ぐな瞳を持つ青年...この瞳を見るだけで、彼が誠実な男なのだと分かる。端整な顔立ちに優しい性格...君なら相手はよりどりみどりだろ?なのに何故...その相手がよりによって...男の冬真なんだ?何故敢えて...荊の道を...君は選ぶんだ? 私は、白衣のポケットからあるものを取り出し、目の前に座る葉祐君に差し出した。 「あっ...これ...」 「何だか分かる?」 「この指人形...うちの会社のマスコットなんです。一番最初に冬真君の家に行った時、寝室で休むことをひどく嫌がったことがあって...」 「冬真が?」 「はい。俺と偶然出会ったことや、それまでの時間が夢じゃないかって思ってしまうみたいで...ちょっと不安定気味になりました。だから、これをサイドテーブルに置いてやったんです。これを見たら、夢じゃないって分かるだろうって。子供騙しっぽいかなと思ったんですけど、結構喜んだので、そのままにしてあるんですけ。でも...どうして先生が?」 「冬真がね...ずっと握りしめていたんだ...」 葉祐君はずっと黙ったままだった。何分経っただろうか...葉祐君はやっと声を発した。   「先生...俺...病室に戻っても良いですか?目が覚めた時、冬真を一人にしたくないんです。不安にさせたくないんです。お願いします。」 「ああ...勿論良いよ。」 「ありがとうございます。」  「あっ、葉祐君!」 立ち去ろうとする彼を、私は呼び止めた。 「はい。」 「君...いける口かい?」 そう言って、右手で盃の形を作った。彼は綺麗に微笑んで言った... 「ええ、嫌いじゃないですよ!むしろ、好きな方だと思います。」 「次に君と語り合うのは、酒の席だな!」 「楽しみにしてます!でも...場所は冬真の家にしてください。冬真を一人にしたくないんです。今の冬真に、なるべく外食をさせたくないんです。勝手ばかり言ってすみません。」 「了解!早く行ってやれ!」 「ありがとうございます!俺...今日から5日間、こちらにいます!都合が合えば是非!ホント楽しみにしてますから!」 一礼の後、爽やかな笑顔を残し、葉祐君は会議室を出て行った。 以前...ああ...確か冬真が葉祐君と再会し、倒れた日だったかな...友人に診察してもらい、結果を絹枝に伝えた時、絹枝が呟いたんだ... 「やっぱり...葉祐君は冬真にとって特別だったわね...」 絹枝......君の言っていたことが、今やっと...分かったよ... 確かに...葉祐君は特別だ...

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