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喜怒哀楽 #2 〈怒〉 side Y

俺は...とうとうイカれてしまったのだろうか...? いや...違う!これは男のロマンだ! 『彼シャツは男のロマン!』 これは後輩の石橋の言葉。 あの時は...そんなもんかなって思ったけど。 石橋...本当だな!確かに...着せてみたい... 〈怒〉 「どうして...?」 「どうしてって言われても...」 「映画館...これじゃ...入れないの...?」 冬真は自分の両腕を広げ、着ている白いシャツと、はいている細身のブラックジーンズを一瞥した。 いやいや...映画館にドレスコードなんてないから... 「もちろん、その服装でも構わないんだけど...あの...あのさ...何て言うか...別の格好も見てみたいかなぁ...なんて思ったりして...」 「でも...俺...こんな感じしか持ってないし...」 確かに、多少、形は違うものの、クローゼットには白いシャツしか並んでいない。 「これじゃ...ダメ...?」 冬真が不安そうに俺を見た。 「ダメじゃないけど......こっ...これなんて...どぉ?」 冬真は白を好んで着るようだから、これなら着てくれるかもしれないと、俺は自分のアイボリーのVネックのロングTシャツを広げて見せた。 「それ...葉祐の...」 「うん...」 「サイズ...違うでしょ...?」 「大丈夫!大丈夫!」 「アイボリー...?白とあんまり変わらないよね...」 「う...うん...」 冬真はしばらく黙ってから...やっと口を開いた... 「葉祐......俺って...一緒に歩くの...恥ずかしい...?」 「えっ?」 「一緒に歩くの...恥ずかしいセンスだから...そんなこと言うんでしょ...?」 「そっ...そんなんじゃないよ!」 「じゃあ...どうしてそんなこと言うの...?ハッキリ言ってくれた方が...まだ良いよ......」 冬真はとうとう俯いてしまった... そんなつもりじゃないのに... 「ごめん!冬真!」 俺は土下座をして謝罪し、事の詳細を全部話した。冬真は屈んで俺の話を聞いていた。 「そう言うワケでして...本当にごめん!」 顔を上げると、冬真は口を真一文字にして、少し頬を膨らませていた。その表情はちょっぴり幼くて...怒っているんだろうけど...めちゃめちゃ可愛かった。 スゲー可愛い... そう思ったら、顔が緩んだのか... 「葉祐!」 冬真の声がピシャリと飛んできた。 「はっ、はい!すみません。」 「貸して。」 「へっ?」 「葉祐のシャツ。着替えて来るから貸して。」 「良いの?」 「着て欲しいんでしょ?」 「うん...」 「最初からちゃんと言えば良かったのに...」   「ごめん...」 「男のロマンねぇ...俺も同じ男だけど...よく分からないなぁ...」 そう呟いて、リビングを出て行った。 着替えて戻ってきた冬真は、何とも言えない色気と可愛さを解き放ち、直視出来ないほどだった。 「どぉ...?感じた...?男のロマン...」 冬真の言葉に、俺は壊れたおもちゃの様に、首を縦に振り続けた。そんな俺を見て、冬真はクスクス笑った。 その表情が...また可愛くて... 俺は心の中で叫ぶ... 石橋!俺もお前の意見に賛成だ! 萌え袖...最高♪

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