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初めての時間 #3 side Y
冬真の吐き出した欲望を全て飲み込んだ俺を見て、冬真はひどく狼狽えた。
「ごめん...葉祐......ごめんね...」
「大丈夫だよ。」
何度となくそう言ってるのに、冬真は俺の言葉を無視して、俺の手を引き、洗面台の前まで連れて行った。
「ごめんね...ごめんね......」
涙目で水の入ったコップを差し出した。
オーバーだな......このくらいで...
正直、そう思った。
そう思いながらも、ここは素直に従ってうがいをした。
うがいが終わり、タオルを取ろうとすると、冬真が俺の腕の中に入って来た。
「どうした?」
「ごめんね...」
冬真はそう言って、俺の口の周りの水滴を拭うかの様にペロリと舐めた。
仔犬みたい......そう思った...
そうだ...外部との接点がほとんどなかった冬真は外見は大人だけど、性に関しては...中身は子供だったんだ...
そっか...初めてのことで...性に対して疎いんだから...あんなの見たらびっくりしちゃうよな...自分を責めちゃうよな...
こちらこそ......ごめん......
「冬真ごめん。俺...冬真とこういう風になれて...本当に嬉しくてさ...自分の気持ちばかり先走っちゃって...冬真の気持ち...考える余裕...なくしてた...ごめん...」
「......」
「もう...辞めるか...?」
「...葉祐......俺の体...気持ち悪い...?」
「そんなことねーよ!さっきも言っただろ?お前は本当に綺麗だよ!お前は全てが綺麗なんだよ!お前は俺の自慢なんだ!だから...そんな事絶対言うな!」
「自慢......?...俺が......?」
「うん!忘れないで...冬真は俺の自慢だよ!自慢のパートナーだよ!」
「葉祐......ありがとう...あのさ......お願い......続き......して......」
「良いの...?」
「うん......葉祐が......嫌じゃなかったら......」
「嫌なもんか!」
俺は冬真の手を導き、充分にそそり立つ俺自身を握らせた。
冬真は一瞬驚いた表情をして、
「でも......入るかな......?」
と小首を傾げて呟いた。
それは知ってるんだ......変なの......
だけど......
小首を傾げる冬真が、あまりにも無垢で可愛くて...
俺は冬真を抱き上げた。
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