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可愛い試練 #1 side Y
寝顔を見ていた…
相変わらず、あどけない可愛い寝顔...
それは......
昨晩のベッドの上での妖艶な姿など、微塵も感じられないほど...
冬真...俺の可愛い人......
朝日に徐々に照らされて...更に透明度が増したお前は......
世界で一番美しい。
本当に男なのか?
そう思うこともしばしば。
おっ!髭発見!
朝になって、顎の辺りに少しだけ生えて来た髭を見て、やっぱり男なんだなと思う。当たり前か......
冬真の頭を撫でると、ふと昨晩のことを思い出した。
両親が帰った後、俺達はお互いがお互いを貪るように求め合った。冬真は最初から啼くことを我満出来ずにいた。細くて白い...それでも中は熱いこの体に、俺は何度か自分の欲望を解き放った。それでも、俺の欲望は肥大する一方で、冬真に請う。
「冬真......冬真......俺......」
「うん......いいよ......葉祐......」
「でも......体......」
「大丈夫......絶対......無理......しないから......俺も...葉祐が......欲しいから......」
冬真のその言葉は...俺を暴走させるには充分過ぎて…
俺は冬真の中に再び入ってゆく...
「あっ......あん......葉祐......」
冬真が堪らず啼く。
俺はもう冬真に夢中で、彼の中に討ち続ける律動は治まることなく、早まるばかり。
「あぁ...葉祐......き...気持ち...いい......あん...あぁ......」
『気持ちいい?』っていう問いに頷くことはあっても、それを自ら言ったことはなく、初めて発したその言葉。その破壊力はこの上なく、とてつもない。最後はほぼ二人同時に極みに達し、冬真は快楽から初めて意識を手放した。
「う...ん......ようす...け......?」
「冬真、おはよ。」
「うん......おはよ......」
「調子はどぉ?」
「うん...大丈夫......だけど......」
「えっ?」
俺は焦り、冬真の額に手をのせる。
「ちょっと......立てそうもないみたい......」
冬真は申し訳なさそうに微笑む。
「ごめん。昨日も歯止めが効かなくて......」
「ううん......大丈夫......だって......俺も...」
布団に顔を半分隠しながら言うもんだから...後半はゴニョゴニョとして何だか聞き取れない。
可愛い......
「じゃあ、今日は一日、ここで過ごそうか?必要最低限以外の家事はお休み!冬真はして欲しいこと何でも言って!」
「うん......じゃあ......リスの餌をお願い。それから......苺ジャムトースト食べたい。あれから......まだ......食べてないから......」
「そうだね。でも、まず風呂入りたいよな?一応...後処理はしておいたけど...」
「うん......」
冬真は恥ずかしそうに、ぎゅっと瞳を閉じた。
「でも...冬真立てないから、一緒に入らなくちゃだ…」
「面倒だね......ごめんね......」
「そうじゃなくて…俺...理性...保てる自信ない。」
「あっ、そっち......?」
「うん......」
「昨日...あんなにしたのになぁ…...」
そう言いながら、冬真は指折り、回数を数えようとした。
「こらこら!」
「冗談......あはははは......」
無邪気に笑う。
もう...冬真なしでは生きられない。
一日でも早く、冬真のそばで暮らしたい。
冬真のいない15年...俺はどんな風に生きて来たのだろう...
もう...そんなことも思い出せない。
きっと...それなりに生きて来たんだろう...
だけど......
こんなに輝いていて、満ち足りた時間などなかったはずだ。
堪らず冬真を抱きしめた。
「葉祐......」
「うん......?」
「俺......体力つけなくちゃだね…」
「うん。」
「一緒に暮らしたら...今日みたいに立てなくなっちゃう日が...たくさんになるんでしょ...?」
「えっ?」
「それとも...葉祐は理性と闘いの日々か?でも...そんな悶々とした葉祐も見てみたいかな......早く一緒に暮らしたい......」
「冬真......」
「一緒に暮らしてから...やっぱり面倒なヤツだって...ポイってしないでね......」
「するもんか!15年掛けてやっと掴まえて、手に入れた宝物だぞ!そんなことするもんか!」
「うん......ありがとう......」
冬真は微笑む。
あぁ......その微笑みは誰にも見せないで......
だって......
あまりにも美し過ぎるから......
「ねぇ…葉祐......」
「うん?」
「やっぱり...風呂に入れてくれないかな...?」
「了解!」
冬真を横抱きにすると、冬真はいたずらっぽく言う。
「お世話になります。」
「こうなる原因を作ったのは俺なワケだし...まっ、最初の試練だな。」
「うん...試練...試練...そして...もっと試練だよ...」
冬真はそう言って、俺の左頬にキスをした。
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