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救世主 side S ~Saito~
冬真君はゆっくりと、現在までに起こった事を話し始めた。
たかがパートナーの誕生日で大袈裟な......
と本来なら一蹴。
だけど...冬真君は違う。
冬真君は幼少の頃から両親がいないに等しい。学校も満足に行けてないだろうから、プレゼントのやり取りや誕生日会なんて、きっと経験ないはずだ。冬真君にとって、葉祐はパートナーでもあり、父親でもあり、兄貴でもあり、友達でもある。だから葉祐の誕生日をとても大切に思っている。しかし、経験がない分、どうしたら良いのか分からない。今まで困ったことは、全て葉祐に相談したはずだ。だけど...今回ばかりは、そうすることが出来ない。葉祐の誕生日を大切に思えば思うほど、何よりも大切な葉祐を心配させてしまう......
それが、何よりも苦しくさせたのだろう。
「そっか...それは苦しかったな。よく頑張ったな!」
「うん......」
「そうだなぁ...葉祐は冬真君が全てだから、冬真君からだったら、何でも喜ぶと思うけど...」
「出来ることは絵を描くことぐらいだし...絵も考えたんですけど...それだと家にしか飾れないし、いつでもプレゼント出来るし...どうせなら...離れていても...一緒に連れて行ってもらえるというか...僕を思い出してもらえると言うか...そういうのが良いかなぁと思って......それに...ちょっとビックリさせてみたいし...」
恥ずかしがっているのか、最後はごにょごにょして聞きとれない。
やっぱりスゲー可愛いな......
男にしておくの勿体ない!
それよりも、葉祐のパートナーっていうのが、何よりも勿体ない。
「そうねぇ~冬真君の希望、全てクリアしたプランが一つ、あるっちゃあるんだけど...」
「何?」
「う~ん...これを実行するには、ある条件と勇気が必要だけど...一応聞く?」
「はい!」
冬真君は分かりやすく、ワントーン明るい声で返事をした。
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