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救世主からの電話 side Y
腕時計と同じく、サイドテーブルに置いたスマホから着信音が流れた。ディスプレイを見ると、そこには同期のあいつの名前。俺は小さく息を吐き、冬真を起こさぬ様、急いでタップした。
「もしもし。」
『よぉ!』
「何だよ?こんな時間に......」
『こんな時間じゃねーと掛けられないだろ?気を遣ったんだよ!分かる?お楽しみの真っ最中だったら、もっと洒落にならないだろ?』
「あほかっ!」
『冬真君......寝たのか?』
「ああ。」
『プレゼント...もらった?』
「何で知ってる?」
『相談されたからな...』
「そっか......」
『その腕時計もらって...葉祐...お前どう思う?』
「素直に嬉しいよ。冬真の想いがつまった物だし、離れていても、いつでも冬真を身近に感じることが出来るし......」
『冬真君の愛用の品をプレゼントしたらと提案したの...俺だからさ。安心したよ...お前が喜んで...』
「ああ......だけどさ......」
『だけど?』
「冬真が...この腕時計を買うまでの経緯がさ......」
『だよな......』
「俺......どうしてもっと早く冬真のこと...見つけてやらなかったんだろ。真剣に探してやらなかったんだろう。可哀想なことしたよ...毎日、心細い思いをしながらも、こんなに頑張っていたなんて...冬真の本当の気持ちを理解してやってさ...探して...手紙でも書いてあげれば良かったよ......」
『仕方ないさ。二人ともまだガキだったし、お前は冬真君は無事に手術を終え、初めて会った頃とは別の...楽しい人生送ってるって疑わなかっただろ?』
「うん......」
『だったら、後悔しても仕方ねえ!大事なのは今だろ?その腕時計...お前が今、もらってやることの方に意味があるんじゃないか?』
「そうだな......」
『ああ...それにしてもさ......冬真君...可愛いな......』
「何だよ!いきなり。」
『いや。今回色々話してみてさ、何て言うの?本当に純粋培養でさ...お前への想いが半端ねぇんだって、スゲー伝わって来たよ...』
「本当に?」
『ああ。冬真君にとって、お前は全てなんだよ。独占欲全開にして、あんまり困らせるなよ!』
「うるせーよ!」
『幸せにしてやれ!悲しませたら、俺、お前のこと許さないからな!フルボッコ確定な!』
「分かってる!この場で誓うよ!冬真を絶対に幸せにする!極力、悲しみや苦しみから遠ざけるように努力するよ!」
『おぅっ!俺の可愛い冬真君を頼んだぞ!』
「お前が言うな!俺の冬真だぞ!」
『ほぉら!また独占欲全開にしてきた!まぁ...あれだけ綺麗で可愛かったら...仕方ないけどな!』
「ちえっ。」
二人で大笑いした。俺の声が耳に入ったのか...
「う...ん...」
と、冬真が寝返りをうった。その時の寝顔のあどけなさと穏やかさに堪らなくなって、冬真の頬にキスを一つ落とした。
だけど......
この誓いは......この日から約半年後...守ることが出来なくなり......
冬真の魂は......長いこと...さまようことになってしまう......
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