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対立 #1 side S ~Sayaka Iwashiro ~
私はその晩、海野に連絡を入れた。
「もしもし?海野?」
『うん。』
「岩崎は?もう寝た?」
『うん。やっぱり疲れるみたい......最近じゃ、メシの途中でうつらうつら船漕いでるよ。』
「赤ん坊かっ!」
『あははは。まぁ...それに近いね...』
「ところで...昼間のことなんだけど......」
『うん......』
岩崎が今、抱えてる悩みを私は海野に打ち明ける。
『そっか...最近元気がなかったのは、そういうことだったんだ...』
「で?どうする?」
『どうするって?』
「このままじゃ岩崎、どんどん苦しくなっていく一方だろ?」
『そうだね......』
「何か策を考えてやらないとなぁ......私、全然妙案が思い浮かばないんだけど...海野は何かある?私に出来そうなことがあったら、遠慮なく言ってよ!」
『いや......今は...何もないよ...』
「えっ?何も?」
『冬真が何か言って来るまで、俺達に出来ることは何もないよ......』
「しかし...あのままでは...」
『うん。解ってる。でも...これは冬真の問題だから...冬真が自分からアクションを起こさなくちゃ...そうしない限り、俺達の出番はないよ。』
「じゃあ...海野はこのまま岩崎を野放しにしておくの?アンタを想って...あんなに苦しんでるんのに!」
『いや...放っておくワケじゃない。冬真がアクション起こすまで...俺に出来ることは...冬真がひと息つける場所と、喉を通りやすい食事を作るだけだよ。』
「はぁ...?何言ってるの?岩崎が自分の気持ちを言えないで苦しんだ人生を歩んで来たこと...海野だって知っているはずじゃないか!お前は岩崎を見放すのか?岩崎の世話に疲れたの?だから......」
『違う!俺はただ...冬真の......』
「もういい!海野!私はアンタを見損なったよ!私がどうにかする!アンタなんかに頼らない!海野のそばにいたら、アイツが不幸になる!そのうち...私が岩崎を引き取るから!」
私は海野が何か言っていたのを遮り、私はそう言い放ち、通話を切った。
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