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Love letter #2 side T
目が覚めると...朧気な視界の中に、封筒が目に入った。
何?
封筒を手に取ると、表には
『冬真へ』
と書かれていた。
この字は...葉祐の字...
これは...葉祐からの返事だ。
どうしよう...とても嬉しくて...胸のドキドキが止まらないよ...
一旦落ち着こうと、深呼吸を一回した。
そして...隣で眠る葉祐を起こさない様、静かに封筒を開ける。
手紙、ありがとう!
考えてみれば、冬真から手紙をもらったのは初めてだね。とても嬉しかったよ。
冬真...俺ね、よく考える事があるんだよ。
冬真が俺の前から突然いなくなって、あの交差点で、偶然見つけるまでの15年、俺はどんな風に生きていたのかなぁ...って。きっと、それなりに生きていたと思うんだけど...もう思い出せないの。不思議だろ?それだけ、冬真との時間が充実していて、大切で、かけがえのない時間なんだと思う。
それと...お前に対する俺の気持ち...適切な言葉が見つからないんだ。「愛してる」「大好き」そんな言葉じゃ足りなくてさ。どうしたら良いんだろうなぁ?見つかるまで、何度も言うよ!「愛してる」「大好き」って。
誰に対しても優しくて...
院内学級の子供達と話が出来るようにって、アニメや子供番組観ちゃうほどの勉強家で...
リハビリも休まず頑張る努力家で...
時々、驚くほど頑固で...
たまに怒ると頬を膨らませる、子供っぽいところ...
美人で可愛くて...
冬真の全部が愛おしい!
冬真が...俺の原動力なの!
人には優しいくせに、自分には厳しいところ、人を困らせたくなくて、自分を苦しめてしまうところ、大事な時ほど、何も言わなくなってしまうところ、それさえなければ、随分楽になるのにって思うところもあるけれど、でもさ、それも含めて冬真なんだろうから...直せとは言わない。だけど...悩みや困った事があったら、誰かに打ち明けろ。俺に言えないのなら、お前が信用している他の誰かに相談してくれ。頼む!
冬真...お前が悩み、苦しんでいるところを見ているのは、本当にツラいんだよ...俺。
お前が穏やかな時間を過ごしている時と、俺の作ったカレー食べてる時の顔がスゲー大好き!そして何より、バラの図鑑をはじめ、花や星の図鑑とか、綺麗な物を見ているときの表情は本当に美しい。そういう時に見せる冬真の表情は、真剣そのもので、更に美しさに磨きがかかっちゃって、本当に神々しいほど美しい。俺...見とれちゃってさ...ドキドキが止まらないの。あの表情を見るとさ、「冬真はやっぱりアーティストなんだなぁ...」って思う。なぁ?冬真。絵に関すること...何か始めてみないか?何だっていいよ。簡単なことからでいいからさ。
何だか支離滅裂な手紙だな。ごめん。だけど...最後に言わせて...
冬真、俺と結婚してください。
今は準婚姻契約書が精一杯で、法整備待ちになっちゃうけど...法整備が整ったら入籍しよう!ダメなら同性婚認めてる場所に移住しよう!突然何言い出すの?って思うかもしれないけど...実は前々から考えていたんだ。前向きな返事をもらえると嬉しいです。
俺の最愛の人、冬真へ。
海野葉祐
手紙を読み終えると、手紙を抱きしめ、瞳を閉じ、深く息を吸い込んだ。それから瞳を開け、手紙を封筒にもどし、サイドテーブルの引き出しにしまう。
体を反転させて葉祐の方を向き、寝顔が見える位置まで、モゾモゾと移動し、そのままそっと抱きついた。
「う~ん...」
ごめん...起こしちゃたね...
でも...ぎゅってしたいんだ...
「どうした?怖い夢でも見ちゃったか?」
葉祐は飛び起き、慌てて僕の様子を伺う。
葉祐は驚きの表情で俺を見つめ、なかなか言葉が出ないようだった。
「あ......笑ってる......冬真...分かる?今、お前...笑ってるよ...スゲー可愛い......」
葉祐は震える手で、僕の頬に触れた。僕はまたモゾモゾと移動し、葉祐の胸の中に入ると、葉祐にキスをした。フレンチキスだけど...何度も何度も...
葉祐はこれ以上ないっていうぐらい、驚愕の表情をし、瞳をふるふるさせていた。そして...完全に言葉を失っている様だった。
ありがとう...葉祐...
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