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離ればなれ #2 side K ~Kosuke Y's father ~

病院から自宅に戻り、リビングに入ると、儚げなもう一人の息子は、寂しげに茫然と空を見ていた。 「おかえぃ...」 その声はあまりにも小さく、不安気で今にも消えてしまいそうだ。 「ただいま。」 「おじさ...ん...よぅすけ...」 声以上に不安気な瞳をこちらに向けて問う。 「思ってたより元気だったぞ!ただの風邪なんだ。大丈夫さ。」 「ぅん...」 「そう心配すんなよ。晩飯、約束通り焼きそば作ってやるからさ。元気出せ。」 「そぅだね...よぅすけ...びょう...いん...だいじょぶ...あぃが...と...おじさ...ん...」 無理に作る笑顔と、再度ぼんやりと空に視線を移した背中が、寂しげで痛々しくもあった。 帰宅した母さんも含め、三人で夕飯の食卓を囲んだ。母さんが今日一日、店で体験したことを面白おかしく話してくれた。それなりに食卓に花は咲いた。しかし、冬真はそこに精一杯の精神状態で座っていた。本来は笑える精神状態でもなく、食事を摂る元気もない。笑うのも、食べるのも精一杯。それでも...笑い、食事を摂る。 手の震えが少し残り、未だに自分ではきちんと洗えず、葉祐に入れてもらっていた風呂も、何とか自力で入った。冬真の一挙手一投足が頑張り過ぎていて、数日とは言えど、このままで大丈夫なのかと、母さんと話していた矢先、リビングの隣にある和室からゴトゴトと音が聞こえた。和室には眠りに就いたはずの冬真がいる。心配になってリビングを出ると、冬真が和室からフラフラと廊下に出ていた。 「冬真?」 声を掛けても、冬真は何の反応もせず、フラフラと寝室目指して歩き出した。母さんが小さく言う。 「遊行症じゃないかしら?しばらくなかったのに...」 二人で冬真の後を追う。冬真は寝室に入って行き、何かを探す様な素振りを見せた。ベッドの上にある二つの枕の一つを抱きしめると、そこでパタリと意識を失い、ベッドに倒れ込んだ。その寝顔はあどけなく、穏やかなものだった。 「葉祐の香りを見つけて...安心したのね...きっと...」 冬真をきちんとベッドに寝かせ、冬真の頭を撫でながら、母さんは言う。 「だけど...目が覚めたら...人知れず...私達に分からない様に泣くのでしょうね。葉祐がいない現実と遊行症があった現実に...可哀想に...」 それでも精一杯、ギリギリの精神状態で、朝の食卓に着くのだろう。葉祐に心配させないよう...俺達を心配させないように... 「冬真君...少しだけ...八つ当たりじゃないけど...自分が抱えてるジレンマを、私達にもぶつけられると良いんだけど......ねぇ…お父さん…」 「うん?」 「私...前から考えていたことがあるんだけど...」 母さんが珍しく神妙な顔で話を始めた。

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